外形標準課税:倍増へ 法人減税穴埋め 政府・与党調整
http://mainichi.jp/select/news/20141111k0000m020118000c.html 毎日新聞【横田愛】 2014年11月10日 23時18分(最終更新 11月10日 23時20分)
政府・与党は10日、法人事業税(地方税)のうち赤字企業にも課税する
「外形標準課税」を、来年度から2年程度かけて2倍に拡充する方向で最終調整
に入った。法人事業税は、企業の所得(もうけ)に対する課税と、事業規模に
応じた外形標準課税の2種類で構成され、外形標準課税を拡充する一方、所得
への課税を減らすことで、法人所得に対する課税割合を示す「法人実効税率」
を1.5%程度引き下げることが可能となる。一方、宮沢洋一経済産業相は1
0日、来年度から法人実効税率を少なくとも2.5%引き下げる方向で、政府
内などに働きかけることを表明した。
法人実効税率(国・地方計)は現在、標準税率で34.62%、東京都で3
5.64%。政府は来年度から数年で20%台まで引き下げる方針だ。1%の
引き下げで約4700億円、2.5%では約1兆2000億円の税収減となる
ため、代替財源の確保が課題となっていた。
外形標準課税は資本金1億円超の企業が対象で、従業員に支払う給与総額や
建物の賃料などに応じて課税する。2014年度は約6000億円の税収を見
込んでいる。政府・与党は事業税に占める外形の割合を現在の4分の1から2
分の1に倍増させ、税収を7000億円程度上積みしたい考え。一方で同額分
だけ所得課税を減らし、「稼ぐ力」のある黒字企業の税負担を軽減し、国際競
争力を強化する狙いもある。
外形標準課税の拡充に難色を示していた経団連は賃金を引き上げた企業や中
小企業への配慮を要請している。政府・与党は、2年程度かけて段階的に拡充
するとともに、賃上げ企業に新たな負担軽減措置を導入し、中小企業への適用
拡大は当面見送ることで経済界の理解を得たい考えだ。
宮沢経産相は10日、経団連の榊原定征会長らとの会談で「来年度から少な
くとも2.5%実効税率を下げることで関係方面に働きかける」と表明した。
榊原会長は外形標準課税の拡大について「ある程度納得できる範囲の見直しは
受け入れていくべきだ」と述べ、内容次第で容認する姿勢を示した。
政府・与党は代替財源の確保策として、赤字を出した企業が翌年度以降の法
人税額を減らせる「欠損金の繰り越し控除制度」の縮小や、関連企業からの配
当金への課税強化なども検討中。これらの措置とセットで法人実効税率の下げ
幅をさらに拡大させ、年末にまとめる15年度税制改正大綱に盛り込みたい考
えだ。