消費者庁:子ども事故情報、集まらず…教育・保育施設
http://mainichi.jp/select/news/20141106k0000m040114000c.html 毎日新聞【江口一】 2014年11月06日 08時30分
消費者安全法に基づき消費者庁に通知し、集約することになっている、保育
所や幼稚園など教育・保育施設で起きた、子どもが被害に遭った重大消費者事
故について、実際には昨年度までの4年間で報告義務のある関係省庁や地方自
治体からわずか5件しか同庁に事故情報が寄せられていないことが分かった。
この間、これらの施設では計1100件以上の死亡や重傷などの事故があり、
この中には消費者庁に報告すべき重大事故も多いとみられる。子どもの事故情
報の収集で同法が適切に運用されていない実態が明らかになった。
◇4年間で通報5件
消費者行政全般を点検する内閣府の消費者委員会は4日、事態を重視し、子
どもの事故について政府全体で発生状況を適切に把握し、再発防止を図る体制
を作るよう関係省庁に求める建議(意見書)を出した。この中で、現在は事故
情報を収集する仕組みのないベビーシッター事業や、実態がよく分からない小
規模認可外保育施設についても適切に対応するよう要請した。
消費者委によると、2010年からの4年間で、保育所では死亡や治療30
日以上のけがなどの事故が計447件あり、ほぼ同期間に、放課後児童クラブ
(学童保育)での同様の事故は708件、幼稚園でも死亡や障害が残った事故
が24件あった。いずれも所管の地方自治体や厚生労働省などは把握していた。
一方、消費者安全法は、事業者が提供したサービスの安全性に問題がある可
能性があり、死亡や重傷など生命に関わる重大消費者事故があった場合、関係
省庁や地方自治体から消費者庁に通知することを義務づけており、教育、保育
施設での事故も該当する。
このため、保育所などでの事故も同法に基づいて同庁に報告すべきだった場
合も多いとみられるが、実際の通知は地方自治体から2件、文部科学省から1
件などにとどまり、厚労省からはゼロだった。
この理由について厚労省保育課は「通知すべき消費者事故との認識が足りな
かった」と説明。文科省学校健康教育課は「現場に通知義務が浸透していなか
った」などとし、「消費者委の指摘を真摯(しんし)に受け止める」と話す。
一方、消費者庁も「各省と協力し、説明会や文書などで分かりやすく関係者に
通知の義務を説明したい」としている。