高知県香美市で限界集落を脱した地区 移住家族が過半数に
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=327280&nwIW=1&nwVt=knd 「聞いたことがない」限界集落脱出 10年で移住家族が過半数に
http://www.47news.jp/news/2014/10/post_20141014101715.html 高知新聞 2014年10月14日08時28分
高知県香美市に、移住者とその子どもが住民の過半数を占める集落がある。
物部町大西地区。11世帯20人のうち、ここ10年の間に高知県内外から移
り住んだ人らが5世帯13人を占める。旧来の住民が地区外の高齢者施設に転
出したり、亡くなったりで半減する一方、移住者が次々に人を呼んで下支えし
ている。30〜40代が増え、高齢化率50%以上の「限界集落」を脱した。
絶対的な人数は少ないながら、新旧の住民が自然の中で支え合って暮らす。
大西地区は物部町の中心部、大栃地区から車で20分ほど北に位置する。記
録が残る1970年には16世帯57人が暮らしたが、10年前の2004年
には9世帯14人に減っていた。
“人口増”に大きく貢献しているのが、移住第1号の藤田希民子(きみこ)
さん(46)=奈良市出身。10年前に転入した。香美市の地域づくり支援員
を務める竜也さん(33)=高知市出身=と4年前に結婚し、知人を大西に案
内するようになった。
約2年で、東京などから10組ほどが視察。豊かな自然と水、おおらかな住
民に引かれる人が多く、希民子さんによると「住んでください」と言うまでも
なく、定住を決める人が徐々に増えたという。藤田さん夫妻は空き家の紹介や、
風習についての相談などで移住を後押ししてきた。
移住者の間に子どもも生まれ、60〜80歳代がほとんどだった集落に次世
代の声が響くようになった。高齢化率は10年間で85・7%から30%にな
った。
移住者は農業やものづくりなど、山で自立できる仕事を持ち、大西への郷土
愛も生まれているという。地域の草刈りや行事に積極的に参加。冬の餅まきに
向けて、もち米の手植えを有志で済ませた。長い間放置されていた炭窯も、修
復して使い始めている。
高知県移住促進課は「限界集落を脱した事例は県内では聞いたことがない」
といい、移住者自身の活動で定住が広がっている点に注目。香美市の移住施策
を担当する香美市まちづくり推進課の横山和彦課長は「市としても、移住の受
け皿づくりに取り組まなければならない。大西の人たちから話を聞いて参考に
したい」と意欲を見せている。