【大阪市営地下鉄】スキャンダルが逆風 橋下市長肝入りの民営化 来年4月は困難に
表:民営化をめぐる交通局側の説明と野党側の指摘
http://www.sankei.com/images/news/141013/wst1410130024-p1.jpg 大阪市の橋下徹市長(大阪維新の会代表)が目標にする来年4月の市営地下鉄民営化が
困難な情勢になってきた。開会中の市議会で、今月中に民営化条例案と新会社設立の予算案を
可決する必要があるとされるが、自民が予算案を否決する方針を固め、公明、民主系会派でも
現状での両案可決に慎重論が広がる。交通局幹部が、入札で事業を発注した大手広告会社と
不適切な会食を繰り返した問題も逆風となっている。
6日、自民会派の全体会議では予算案への対応が議題に上がった。幹部が「(民営化後の
経営ビジョンなどについて)議論が続く中で新会社設立の予算は認められない」と否決を
提案し、了承。条例案は引き続き検討するとした。
橋下市長と交通局は来年4月に新会社へ地下鉄事業を引き継ぐことを目指すが、国土
交通省の許可に半年程度かかるため、今月中の両案可決が必要な状況だ。可決には予算案が
過半数、条例案が3分の2以上の賛成が条件で、野党の協力が不可欠だ。
自民、公明、民主系3会派は民営化自体には賛成しているが、同局の民営化計画を問題視。
不動産・ホテル事業や高齢者・子育て支援事業などの新規事業や、地下鉄の安全対策推進などが
盛り込まれているが、野党側は「新規事業の具体案が示されていない」「安全対策の財源が
不明確」と批判する。民営化で固定資産税などを支払うようになることへの懸念も指摘される。
■不適切会食に不信感
「今回の事案は民営化議論に影響する」。6日の市議会特別委員会で公明市議は不快感を
あらわにした。
男性調査役が4月以降、同局のシンポジウムの入札参加を控えていた大手広告会社側と会食を
繰り返し、入札の審査で同社以外の参加業者に極めて低い点数をつけたことが判明。会食には
藤本昌信局長も1度参加していた。
市が入札が適正だったか調査に乗り出す事態になり、野党側は態度を硬化。公明は条例案への
対応を決めていないが、複数の幹部が「継続審議にすべきだ」との認識を示す。民主系幹部も
「結論は出ていないが現時点では認めるべきではないという方向性でまとまっている」と話す。
■統一選で争点化も
昨年2月に議会に提案されて以降、棚上げ状態が続く条例案。来春の統一選を見据えて
「条例案を認めたら橋下市長の手柄になり、否決したら有権者の反発もある」(自民幹部)
という思惑も見え隠れする。
「可決なら維新の手柄にせず、市議会全体の大功績にしたらいい」。橋下市長は今月10日、
記者団を通じて野党にこう訴えたが、牽制も忘れなかった。
「可決されなかったら統一選で『維新以外は民営化反対』と争点化する」
産経WEST 2014.10.13 11:00
http://www.sankei.com/west/news/141013/wst1410130024-n1.html