東京電力福島第1原発事故後、首都圏の自治体でも放射線量が比較的高い
「ホットスポット」地域が見つかった。
同原発から200キロ以上離れた千葉県柏市もその一つで、不安の広がりから
一時は人口が約1500人も減った。
現在は計画した除染を完了し、人口も回復したものの、市内には局所的に線量の
高い「マイクロスポット」と呼ばれる場所が残る。
再び不安が広がらないように、きめ細かな除染が続く。
8月下旬、市南部の中原ふれあい防災公園で、市職員ら2人が駐車場の端に
たまった放射性物質を測定していた。地表面に測定器を近づけると「ピピッ」という反応音。
放射性物質が集まりやすい排水口付近の地表面では毎時0.35マイクロシーベルト、
地上1メートルでは国の基準値(同0.23マイクロシーベルト)を下回る同0.14マイクロシーベルトだった。
職員は「数値としては安全性に全く問題ない」とうなずいた。
2011年3月の原発事故後、市内の清掃工場の焼却灰や市有地の土壌から
数万〜数十万ベクレル単位の汚染物質が検出された。
小さな子供を持つ母親らを中心に不安が広がり、関西などへ転居する動きも起きた。
人口はピークだった11年8月の40万5786人から、12年4月には40万4252人に落ち込んだ。
市は11年末、汚染状況重点調査地域に指定され、約2年かけて800カ所以上の公共施設を除染。
道路の除染も計画分を終え、市内主要道路の平均空間線量は地上1メートルで、
12年10月の毎時0.14マイクロシーベルトから今年5月には同0.091マイクロシーベルトまで下がった。
人口は10月1日時点で40万8198人まで増えた。
市放射線対策室は「除染が進み、騒ぎが落ち着いたためではないか」と推測する。
一方で、市は今年4月から、市内62の小中学校の通学路で、道路脇の土だまりや草が生えた部分など
局所的に線量が高い「マイクロスポット」の除染を新たに始めた。
1カ月に6日間のペースで回って疑わしい場所を見つけ、地表面で同0.7マイクロシーベルト以上あれば除染する。
「0.7」に科学的な根拠はなく、「市民感覚として不安が増す1マイクロシーベルトの地点は
もう市内にほとんどないため、0.7マイクロシーベルト以上にした」(対策室)という。
市民の潜在的不安に応えるのが主な狙いで、7月に市内の県立公園駐車場で、
国の基準値を超える線量が検出されたのを受け、8月限定で行った約100カ所の駐車場の測定も、
こうしたきめ細かい除染の一環だ。
対策室の柳川行秀主査は「健康に影響はなくても、マイクロスポットを取り除くこと
で市民に少しでも安心してもらえるなら、取り組む価値がある」と話している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141009-00000046-mai-soci