2人の医師名を使い分けて診療所を運営し、生活保護受給者の患者約220人を次から次へとでっち上げた。
多数の生活保護受給者が暮らす大阪・ 西成で、受給者を治療したと偽り、診療報酬を不正受給したとして7月、
詐欺容疑で医療法人の元理事長(60)が大阪府警に逮捕され、同罪で起訴された。
「一度も診療していない患者を診療したなどと偽った」という元理事長は、少なくとも3400万円を手にしていたという。
生活保護受給者の医療費はすべて公費で賄われるため、受給者自身も無頓着になりやすいとされる。
架空請求に名前を使われていても 気付かなかった受給者も多いとみられ、
制度と心の“隙”を突いた犯行で、生活保護をめぐる不正受給が「底なし沼」である実態を物語っている。
謎の「小松診療所」
「通院したことのない医療機関が書かれているんですが…」
平成23(2011)年11月、70代の生活保護受給者の男性から西成区役所にこんな相談が寄せられた。
市から届いた「医療費のお知らせ」の中に、身に覚えのない医療機関での診療履歴があったというのだ。
大阪市の生活保護受給者が医療扶助を受ける場合、市指定の医療機関を受診する。
市は、医療機関に診療報酬を支払い、受給者には半年に1回、行政 が負担した医療扶助の明細を送付しているが、
明細には、主に次のような項目が書かれている。
・医療扶助の金額
・診療を受けた月
・日数
・医療機関名
男性が受け取った明細は、22年11月〜23年4月の半年間の診療記録が記載されていたが、
医療機関名の部分に、受診したことのない「小松診療所」という名前が複数回登場していた。
同じ医療法人が運営する別の診療 所「クリニックあい」は確かに受診していたのだが。
不審に思った市は、ほかにも小松診療所で診療を受けた記録のある受給者に聞き取り調査を実施。
すると、「診療を受けた覚えがない」という回答が相次いだ。
つづく
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140814/waf14081407000001-n1.htm?view=pc