米国防総省DARPA、記憶回復装置の研究に助成 40億円
http://www.afpbb.com/articles/-/3020246 AFP/Kerry SHERIDAN 2014年07月10日 18:34 発信地:ワシントンD.C./米国
【7月10日 AFP】米国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects
Agency、DARPA)の研究者らは9日、脳を負傷した軍人や民間人の記憶を回復さ
せることを目的とした、最新式の脳埋め込み型装置の開発に対する総額4000万
ドル(約40億6000万円)の助成金授与について発表した。
DARPAは、対象研究は飛躍的な科学的前進を示すものとする一方で、人間で
有効に機能することが証明されるまでには、まだ多数の困難が待ち構えている
と指摘する専門家らの意見を尊重する構えをみせた。
ワイヤレスの埋め込み型装置をめぐっては、損傷を負った脳内の「隙間」を
埋め、「陳述記憶」として知られる基本的な出来事、場所、状況などを容易に
思い出せるようになることが将来的に期待されている。
この種の記憶は、外傷性脳損傷で失われる場合がある。2000年以降に外傷性
脳損傷を負った米国の軍人は27万人に上っており、民間人では毎年170万人が
同様のダメージに見舞われている。
能動記憶の回復に関するDARPAの「(Restoring Active Memory、RAM)」プ
ログラムの責任者、ジャスティン・サンチェス(Justin Sanchez)氏は「われ
われの構想は、脳損傷と機能障害を有する患者の記憶を回復させるための神経
機能代替装置を開発することだ」と語る。
DARPAによると、同局はこのような実験を行う上での倫理的な問題について
慎重に検討しており、この種の研究に関連する潜在的な落とし穴をめぐり、神
経科学の専門家らで構成される委員会との協議を重ねているという。
DARPAの研究は、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が1億ドル(約
100億円)の予算を投じた脳機能研究「BRAIN」を支援する4年計画の一環とし
て進められている。
DARPAの助成金は、最高2250万ドル(約22億8400万円)が米ペンシルベニア
大学(University of Pennsylvania)の科学者チームに、最高1500万ドル(約
15億2300万円)が米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of
California Los Angeles、UCLA)に、250万ドル(約2億5300万円)が米ローレ
ンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory)にそ
れぞれ授与される。
■最初はてんかん患者で試験
研究者らによると、開発されるすべての神経機能代替装置は、てんかんが原
因の記憶障害があり、治療の一環としてすでに電極を埋め込まれている患者に
対して最初に試験が行われるという。
これらの患者で装置が有効に機能した場合、「外傷性脳損傷やアルツハイマ
ー病の患者の正常な記憶機能を取り戻す方法に関する極めて重要な情報が入手
できる」と、ペンシルベニア大の計算論的記憶を研究する「Computational
Memory lab」のマイケル・カハナ(Michael Kahana)所長は話す。
UCLAの声明によると、科学者らは「記憶機能の回復を助けるために高度な電
気刺激を用いて介入する」方法に関する研究を行う予定だという。
研究者らが回復させることを目指している「陳述記憶」の一例として、サン
チェス氏は「店に行く」ということを挙げた。店に行くためには、店の名前や
場所、おそらく電話番号やオーナーの名前なども記憶しておく必要があるだろう。
こうした情報は、外傷性脳損傷を負うと思い出すことが困難になる場合がある。
サンチェス氏は「最終的には、脳損傷患者の情緒的、社会的、経済的側面に
対する解決策を見つけたいと考えている」と述べている。
同氏はまた、一部でささやかれている、米軍当局が戦地に派遣された兵士の
記憶を改変・削除しようとしているのではとの懸念に対し、DARPAは記憶の消
去に関する領域ではいかなる研究も行っていないと述べた。