【AID】非配偶者間人工授精で生まれた医師・加藤英明さん 遺伝上の父を知りたい [6/27]

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AIDで生まれた医師加藤英明さん 遺伝上の父 知りたい

2014.06.26 12:00:00

市大センター病院医師・加藤英明さん

 第三者から精子や卵子の提供を受けて子どもをもうけたり、代理出産してもらったりする不妊治療の
ルールづくりをめぐる議論が本格化しようとしている。自民党のプロジェクトチーム(PT)がまとめた
生殖補助医療法案が今秋の臨時国会に提出される見通しだ。横浜市の医師加藤英明さん(40)は、
そこに抜け落ちたままになっている視点を指摘する。「生まれてくる子どもには遺伝上の親を知る権利が
ある」。加藤さんこそは非配偶者間人工授精(AID)で生まれた一人である。

 真実は偶然、知らされた。

 横浜市大医学部生だった2002年、加藤さんは実習を兼ね、自分と両親の血液を調べてみた。

 1週間後。検査技師が結果を出し渋っている。データを確かめると、父とは遺伝的なつながりがない
ことは一目で分かった。

 この時点では、さほどショックはなかったと加藤さんは振り返る。「頭をよぎったのは自分は養子
だったのかな、ということだった」。親戚付き合いの多い家庭だったこともあり、さまざまな親戚の顔が
浮かんだ。

 父の不在を見計らい、母に結果を伝えた。母が少しずつ話し始めた事実は、医学生でも耳にすることの
ない話だった。

 公務員だった両親は30代で結婚したが、子どもに恵まれず、検査したところ父が無精子症と診断
された。紹介された慶応大病院でAIDを勧められた。主治医からは「慶応大の医学生の精子を使うが、
匿名で名前や身元は教えられない。生まれた子どもにはAIDのことは教えない方がいい」と諭された
という。

 母は2年間の治療を経て妊娠し、地元・横須賀の病院で出産。AIDの事実は祖父母や親戚にも知らされ
なかった。

 親子関係を疑うことなどなく生きてきた29年間。自分のルーツの片方が一瞬で空白になってしまった。
「自分の人生が土台から崩れ、空中に放り出されたような浮遊感を覚えた」

http://www.kanaloco.jp/article/73603/cms_id/88268