【社会】路上喫煙禁止条例違反の男が市を相手取り、過料2千円の支払い処分の取り消しを求める控訴審が明日判決…横浜
◆過料取り消し あす控訴審判決
指定した地区での路上喫煙を禁じる横浜市の条例をめぐり、過料2千円の処分を受けた東京都の男性が、
処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が26日、東京高裁で言い渡される。
一審横浜地裁判決は、市が条例に罰則を設けた2007年以降、初めて処分取り消しを認めており、
控訴審でも判断が維持されるか、注目が集まっている。
原告の男性は12年1月、市条例で路上喫煙が禁止された横浜市西区の路上で喫煙し、
市の「美化推進員」から過料2千円の支払いを命じる処分を受けた。男性は市に処分の取り消しを求めて提訴。
横浜地裁はことし1月、「禁止地区と分からなかった」という男性の主張を認め、
「過失がない以上、過料処分にはできない」として、市に処分取り消しを命じた。
控訴審では、(1)過料処分に過失は必要か(2)原告は現場が禁止地区と認識できたか−の2点が主な争点となっている。
一審で市は「違反した客観的事実があれば過料は徴収できる」と主張したが、
判決は「禁止地区は限られており、喫煙させない目的のためには、認識にかかわらず処分できるというのは不合理」として市の主張を退けた。
また、現場には禁止地区と周知する看板と路面表示があったが、一審判決は大きさなどから「認識は困難」と判断した。
控訴審で、市はあらためて処分の正当性を主張している。
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健康意識の高まりや環境美化、たばこの火によるやけどなどの事故防止の観点から、
罰則付きで路上での喫煙を規制する自治体は増えており、違反者を見つけた場合は原則、過料を徴収する自治体もある。
一審判決が維持されると、こうした一律徴収のあり方に影響が出る可能性もあるだけに、自治体関係者は判決の行方を注視している。
横浜市では、市内6地区の禁止地区で違反者を見つけた場合、巡回を行う「美化推進員」が2千円の過料を徴収する。
2013年度までに2万1704件の過料処分を出した。県内で同じように過料や罰金を定めている9市町の中で、最も厳しい対応といい、
担当者は「規制の実効性を保つために徴収は必要」と説明する。
だが、一審判決はそうした一律徴収を「不合理」と断じた。
判決は、現状では「路上喫煙禁止地区は極めて限られている」とした上で、禁止地区と知らずに喫煙することは「当然にあり得る」と判断。
条例の目的は「実際に喫煙をさせないこと」で、こうしたケースで過料を徴収しても、違反者は「運が悪かった」と受け止めるにとどまり、「今後の抑止効果は期待できない」と指摘した。
路上喫煙への全国初の罰則付き条例を制定した東京都千代田区は、横浜市と同じく違反者を見つければ一律に2千円の過料を徴収しているだけに、高裁の判断を注視する。
「注意すればやめてくれる喫煙者が大半だろうが、それでは『また吸ってもいい』となってしまう」と話す同区の担当者は、
「条例に違反していると理解してもらうためにも、実際に過料を徴収している」と運用の正当性を主張する。
しかし、横浜市以外に過料や罰則を設けている県内の自治体は、適用する手続きに慎重だ。
指導に当たる職員がまず口頭で注意し、それでも喫煙をやめなければ過料を徴収したり、罰金を命じるための刑事手続きを取ったりするという。
昨年度までの過料処分総数は川崎市が11件、大和市は3件にとどまる。ほかの6市町では、規定があるものの過料処分や刑事手続きに至ったケースはなかった。
ただ、厳しく過料処分を出す横浜市も、罰則適用に慎重な他の自治体も、禁止地区での路上喫煙がなくならない実態は共通している。
ある自治体の職員は漏らした。「本当は、マナーの向上で路上喫煙がなくなるのが一番なのだが」。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140625-00088041-kana-l14