【東京】安倍晋三首相は成長戦略の柱の1つとしてカジノに期待をかけているようだ。
3人の政府関係者によると、政府はカジノを含む「統合型リゾート施設(IR)」を
今月まとめる新たな成長戦略に盛り込む方針だという。
首相はこのところ、カジノの合法化を支持する意向を明確にしている。
先月、シンガポールでカジノを視察した際には、IRが経済強化に向けた政府の取り組みに役立つと述べた。
政府は成長戦略の目標の1つとして、2020年までに日本を訪れる外国人旅行者数を年間2000万人に増やすことを
挙げている(13年は1000万人)。推進派はカジノが外国人観光客の呼び込みに役立つと主張している。
政府高官の1人はウォール・ストリート・ジャーナルに対し、
「まだファイナライズ(最終決定)はされていないが、現段階ではIRを検討すると明記されている」と述べた。
この高官によると、政府は当初、昨年発表した経済戦略「日本再興戦略」にカジノを盛り込むことを検討していた。
しかし、閣僚の一部が国民の認知度が低く時期尚早と主張したため、発表直前に外されたという。
別の政府高官は「機は熟したということだろう」と述べた。
カジノ業界の関係者は政府がカジノリゾートの推進を明記すれば、関連の法整備に弾みがつくと期待している。
日本ではカジノ解禁を求める陳情活動が10年以上にわたって続いていたが、ここ数カ月で楽観論が広がった。
日本でカジノが解禁されれば、マカオに次ぐ世界第2位の規模になるとみられている。
証券会社CLSAは日本でカジノが解禁されれば、売上高は400億ドル(約4兆円)に上ると予想している。
昨年のラスベガスの売上高(65億ドル)の6倍以上だ。
CLSAが今年2月に東京で開催した投資会議では、カジノリゾート運営会社のウィン・リゾーツ、ラスベガス・サンズ、
MGMリゾーツ・インターナショナルの幹部が日本での高級カジノリゾートの建設に関心を示した。
超党派の議員連盟「国際観光産業振興議員連盟(IR連盟)」(会長:自民党の細田博之自民党幹事長代行)は
22日に会期末を迎える通常国会でのIR推進法案の成立を期待していたが、政府は他の法案の審議を優先。
IR推進法案の審議はまだ始まっていない。連立与党の公明党はカジノを容認することに完全には納得しておらず、
自民党も法案成立を急ぐことには消極的だ。
当面の焦点は今週18日までにIR推進法案の審議が始まるかどうか。
いったん審議入りすれば、今国会中に成立しなくても、秋の臨時国会で優先的に審議される。
しかし、今週、審議入りできなければ、このシナリオは崩れる。
衆院内閣委員会の理事懇談会は17日に会合を開き、今国会中に審議入りするかどうかについて決定する。
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303838604579626112456074406