「正論」平成26(2014)年6月号
【警世特集】亡国の「移民国家」論を許さない
中国人大量受け入れへと暴走する財界人たち
評論家 関岡英之
http://www.fujisan.co.jp/product/1482/b/1067198/ そして技能実習制度こそ、中国人にとって最大の日本入国ルートであり、2000年以降、在日中国人が
急増し、ついには戦前から在留している在日韓国・朝鮮人を凌駕する最大勢力になってしまった原因で
あることは、先月号で法務省の統計を駆使して論証した。
技能実習制度は、これまでも最長3年で帰国させるルールの下に運用されてきたはずだが、にもかか
わらず2000年以降、在日中国人が急増するのと並行して、在日中国人のうち永住者が占める比率も
うなぎ登りに上昇の一途をたどってきている。
(中略)
「高度外国人材」と聞くと、おそらく多くの読者は欧米人を想定するだろう。法務省が作った「高度人材
ポイント制による出入国管理上の優遇制度』というリーフレットでも、イラストに描かれているのは金髪碧眼
の欧米人ばかりだ。
ところが実態はまったく違う。高度人材ポイント制が施行されてからほぼ1年後の2013年6月末現在、
この制度で認定された高度人材本人、家族、家事使用人の合計は1千人だが、図3に示した通り、実に
その半数を中国人が占めているのが実情なのだ。欧米人は全体の4分の1にも満たない。
未熟練労働者を対象とする技能実習制度と同様、高度人材ポイント制においても、実績は中国人に
偏在している。日本の政府がいかなる制度をこしらえようと、その恩典は、結局は中国人に食い尽くされて
しまうのだ。
(中略)
高度人材ポイント制をさらに拡充すべく、安倍内閣は今年3月11日に入管法改正案を閣議決定し、
通常国会に提出した。
この改正案はとんでもない内容である。
現在、外国人の在留資格で在留期限の上限がないのは外交官と永住者だけである。安倍内閣が
目論む入管法改正案は、いわば永住者を粗製濫造するためのものなのだ。
(中略)
ただでさえ永住指向の強い中国人は、改正入管法が可決成立すれば高度人材認定を目指して殺到して
くる。在日中国人のうち永住者の比率はさらに上昇の一途をたどることになるだろう。
「正論」平成26(2014)年6月号
【警世特集】亡国の「移民国家」論を許さない
移民「毎年20万人」受け入れ構想の怪しさ
産経新聞論説委員 河合雅司
http://www.fujisan.co.jp/product/1482/b/1067198/ 各国で高齢化が進めば、若い労働力の奪い合いになることも予想される。最速で高齢化が進み、
言葉の壁が立ち塞がる日本は必ずしも魅力的な移民先であるとは限らない。
(中略)
それでも、ある特定の国だけが送り出し続けるならば、それはある種の政治的意図をもって狙い
撃ちしていると考えたほうがよい。これからも、移民は政策論として非常に困難だと言わざるを得ない。
(中略)
政府が非公式ながら、移民の大量受け入れを本格的に検討し始めたのは2000年頃とされる。
そして、背後にちらつくのは財務省の影だ。ある中堅幹部が「省内でずっと検討を重ねてきた」と認め
ている。
推進派官僚たちにとって移民政策は、悲願なのである。
(中略)
推進派官僚たちは実に巧妙だ。内閣府の試算で「移民」を派手にぶち上げ国民の耳目を惹きつける
一方、あたかも移民政策とは別物のように外国人労働者の受け入れ要件をなし崩しに緩和し、実質的
に「単純労働」を認めてしまおうとの作戦のようである。
安倍首相がわざわざ「移民政策と誤解されないように」と強調したところにこそポイントがある。
(中略)
「五輪スタジアムの建設が間に合わないとの説明には反対しづらいものがあることを計算に入れての
ことだろう。先の財務省中堅幹部は「今回は建設業側から『外国人を入れてほしい』と言ってきたので
助かった。これは蟻の一穴となる」と明かしている。
その言葉通り、推進派は建設業を突破口に畳み掛け始めた。
(中略)
外国人労働者をなし崩しに受け入れようとしていることについて、ある推進派官僚は「人口減少に
対応するには、もはや外国人を入れるしかない。移民に反対するのは敗北主義だ」と強調してみせた。