福岡市:タクシー助成「切り下げ」 重度障害者向け
http://mainichi.jp/select/news/20140422k0000m040146000c.html 毎日新聞 2014年04月22日 08時00分
重度障害者にタクシーの初乗り運賃相当額を助成する福岡市の福祉事業で、
市が今年度、4月の消費増税に伴うタクシー運賃の値上げ分を助成金に反映さ
せていないことが分かった。利用者は一定の距離を超えて小型タクシーに乗車
すると20円の負担増となり、障害者支援団体から「実質的な助成金の切り下
げだ」との批判が出ている。
事業は、重度障害者の社会活動の範囲拡大などを目的に、タクシーの初乗り
運賃相当額分の利用券を交付する。利用券は申請に応じて月4枚、年間最大4
8枚交付され、市内および周辺のタクシー会社133社で使える。
タクシー会社によって初乗り運賃は違うが、市は3月まで、小型タクシーの
場合は多くの会社が採用していた550円を「相当額」と設定。4月に消費税
が8%に引き上げられ、初乗りは570円に値上がりしたが、「相当額」は5
50円に据え置いた。今年度の対象者を約6200人と見込み、当初予算に約
9200万円を計上した。
市の担当者は「3月上旬にタクシーの値上げ額が分かったが、既に利用券を
印刷しており、再印刷はコストがかかり、4月からの交付にも間に合わないの
で難しかった」と釈明するが、運賃の値上がり分を上乗せするかどうかについ
ては2015年10月に消費税が10%へ増税される場合に検討するとしてお
り、すぐの引き上げには消極的だ。一方で、同様の福祉事業を実施する北九州
市や福岡県久留米市は今回の消費増税に伴う運賃値上げ分も助成しており、福
岡市の姿勢が問われそうだ。
「障害者の生活と権利を守る福岡県連絡協議会」の石松周(ちかし)会長は
「福岡市は見えないところで福祉を削減している。初乗り運賃を助成するとい
う制度の趣旨に反したものだ」と批判している。【下原知広】