[北京 9日 ロイター] -米国のヘーゲル国防長官が今週中国で行った率直な意見交換の1つとして、
中国中央軍事委員会の范長龍副主席とのやり取りが挙げられる。
副主席はヘーゲル長官に、おじが第二次世界大戦中に日本の鉱山での強制労働で死亡したという話題で歴史の教訓を強調し、
米国が日本側に立って中国に向き合っていることへの中国政府の懸念をほのめかした。
これに対してヘーゲル長官は、自身の父親が第二次大戦における対日戦に貢献したと返答。
ある米政府当局者はロイターに対して、「長官は歴史から知識を得るべきだが歴史に振り回されてはならないという考えを
はっきりと示した」と語った。
こうしたやり取りには、米国のアジアにおける役割について中国が持つ不満が凝縮されている。中国の目には、
領土をめぐり対立する日本やその他の国を米政府がますます支援しているように映る。米国はどちらの肩入れもしないと
しながらも、同盟国を防衛する用意はあると表明している。
一部の専門家によると、中国は南シナ海や東シナ海の領土問題をめぐる最近の米当局者による強硬な発言が、
今月アジア諸国を訪問するオバマ大統領が発信するメッセージの予告ではないかと心配しているという。
中国は今週、オバマ大統領が日本とフィリピン、マレーシアを訪問した際にそれぞれの領土問題に熱心に首を突っ込んで
ほしくないという考えを、外交儀礼も抜きにして明確に打ち出した。中国は尖閣諸島に関して日本と対立しているほか、
南シナ海ではフィリピン、マレーシア、ベトナム、ブルネイ、台湾との争いを抱えている。
中国外務省系列のシンクタンク、中国国際問題研究所(CIIS)のRuanZongze氏は「オバマ大統領は、アジア訪問の際には
この問題で真剣に配慮する必要がある。中国は既にヘーゲル長官との会談でこのメッセージを伝えた。
米国はわれわれが望まない方向に動きつつあり、日本とフィリピンに味方している。
中国はこれについて極めて不快に思っている」と述べた。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA3905W20140410