【国際】ラッセル米国務次官補「ロシアへの厳しい制裁は、東シナ海や南シナ海で領有権主張を強める中国への警告にもなる」…上院公聴会で
日本の“積極的アタック”にとまどう米国
尖閣防衛の協力を迫っても米軍は動かない
2014.03.20(木) 北村 淳
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40210 しかしながら、日本側は幅広い地政学的環境変化というよりは、増強著しい中国人民解放軍の脅威への対抗策に
関心を集中させているようである。とりわけ尖閣諸島をはじめとする中国による覇権主義的海洋進出に対抗すべく、
極めて具体的なシナリオを持ち出してアメリカ側による対日軍事支援に関する明確な姿勢を引き出そうとしている。
これにアメリカ側実務担当者たちはかなり面食らっているようである。
例えば、日本側は「人民解放軍による尖閣占領と奪還」といった日中軍事衝突という有事のみならず、
「中国の軍艦ではない船舶、例えば漁船や監視船が大量に尖閣諸島に押し寄せた場合の対処」
「漁民などに擬装した人民解放軍によって尖閣諸島が占領された場合の対処」といった『国家安全保障戦略』
にいう“グレーゾーン”に該当するような事態においても、米軍による具体的方針を引き出そうとしている。
アメリカ政府の“曖昧”な態度を変えさせたい日本
このように日本側が尖閣問題で具体的な対処を盛り込みたいと考えているのは、尖閣諸島に関する
「アメリカ政府の態度がはっきりしない」からである、とする論調が日本には根強いようである。
しかしながら、アメリカ政府の尖閣問題に対する態度ははっきりしている。
アメリカ外交には第三国間の領域紛争には関与しないという鉄則がある。この鉄則は、当事者に同盟国が
含まれている場合でも、無関係の三国間の場合でも等しく維持するのが歴代アメリカ政府の原則である。
アメリカ政府は国際常識的観点から尖閣諸島は日中間(プラス台湾)での領域紛争と見なしている。
したがって、「尖閣諸島の領有権は日本にある」と公式に認めることができないのがアメリカが遵守している
外交鉄則なのである。
もっとも、アメリカ社会自体も余裕がないため、他人のことを気遣う風潮など目に見えて薄れてきている。
他国のために莫大な軍事予算と人命までをも犠牲にして“アメリカの栄光”を維持しようといった国民的気質も
急速に失われつつある。
268 :
名無しさん@13周年@転載禁止:2014/04/04(金) 20:19:54.56 ID:ILAAwwFm0
すでに中国に制裁してなければならないはずだが?w
このような状況であるにもかかわらず、日本側にはオバマ政権が強調している「アジア重視政策」を日本防衛
に都合の良いように解釈している傾向がある。
例えば、「アメリカ軍全体の予算・人員・戦力など全てが削減される中でアジア太平洋方面には重点配備が
なされる」といった方針を、あたかも「日本防衛を重視し対中警戒態勢を強化する」といった具合に手前勝手な
報道をするメディアも存在している。
しかしながら「海軍艦艇の60%を太平洋方面に配備する」と言ってはいるものの、実際のところ“からくり”が
存在している。
アメリカ海軍は海軍戦力の著しい低下が強調されてしまうのを避けるために、戦闘部隊艦艇の数え方を変更した
(戦闘部隊艦艇とは基本的には敵軍艦との戦闘に投入される部隊の軍艦という意味である)。すなわち、
病院船や小型沿岸警備用パトロール艇なども戦闘部隊艦艇に算入して、数字上戦力の低下を最小限に食い止め
ようとしているのだ(米連邦議会下院軍事委員会海軍力小委員会委員長フォーブス議員は、このような動きを
「紙の軍艦で現実の敵と戦うのか」と批判している)。したがっていくら6割の艦艇が太平洋方面に配備されると
いっても、実質的戦力強化にならないことは明らかである。
これはほんの一例であり、中国人民解放軍の戦力増強と東アジア地域に展開する米軍戦力を客観的に比較すると、
戦力増強などとは程遠い状態であると言わざるをえない。
もっともアメリカ側も日米同盟を強化しようとしているのは事実である。そして日米同盟に限らず、オーストラリア、
フィリピン、韓国、タイなどとの間の同盟をも強化しようとしている。
ただし、日本側が期待している日米同盟の強化というのは「アメリカが現在以上に日本防衛のために強力な
テコ入れをしてくれる」という意味での強化であるが、アメリカ側の同盟強化とはそのような意味は持っていない。
あけすけに言えば、日本をはじめ同盟諸国にこれまでアメリカが担ってきた軍事努力の一部、それもアメリカの
マイナスにならない限度において、できるだけ多くの部分を肩代わりさせていこうという意味での同盟強化と言う
ことができる。
米軍から見るとアマチュア?
日本の島嶼奪還シナリオが通用しない理由
2014.03.27(木) 北村 淳
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40273 そもそも人民解放軍侵攻部隊にせよ漁民に偽装した特殊部隊にせよ、尖閣諸島を占領して、その占領された
島嶼を自衛隊(+アメリカ支援軍)が奪還するというシナリオ自体、アメリカ側が考えている島嶼攻防戦のシナリオ
に照らすと、検討すべきプライオリティが低い。というよりは、「占領・奪還」というシナリオを実施するための態勢構築
は、それ以前に構築すべき「占領阻止」というシナリオを実施する態勢を整備してから推進すべきものであると
考えているからである。
さらに言うと、人民解放軍が尖閣諸島の魚釣島を占領するにあたって、占領作戦とそれに付随する作戦以外の
対日軍事行動は行わないというシナリオは、海兵隊将校の言葉を借りると「あまりにアマチュアな」考えに過ぎる。
(本題から離れるため詳述しないが、人民解放軍が日本に対する軍事作戦に踏み切る場合には、間違いなく
多数保有している長距離巡航ミサイルや場合によっては非核弾頭装着の弾道ミサイルにより日本各地の戦略目標
を攻撃し、あるいは攻撃すると恫喝し、自衛隊の戦力を分散させるのが大前提となるであろうことは、中国の戦争哲学
ならびに近年の常軌を逸した長距離巡航ミサイルの大増産から容易に読み取れる。したがって、中国の軍事作戦
を考える大前提として、人民解放軍が躍起になって揃えている各種長距離巡航ミサイルや弾道ミサイルによる
恫喝や攻撃を大前提にせずに、尖閣占領作戦のみを実施すると考えるのは非現実的な状況を前提にしている
“アマチュア”なシナリオなのである)
百歩譲ってこのような非現実的シナリオを考えた場合でも、人民解放軍に占領されている魚釣島に自衛隊や
アメリカ海兵隊の上陸部隊を送り込んで奪還する必要性は存在しない。無人の尖閣諸島には保護すべき島民
はいないし、保存しなければならない施設も存在しない。したがって、大量の長距離巡航ミサイルや誘導爆弾
によるアウトレンジ攻撃により魚釣島を占領中の人民解放軍部隊を全滅させてしまえば、中国による占領状態は
終結することになる。なにも多数の自衛隊員や海兵隊員の人命を犠牲にしてまで「奪還作戦」を実施する理由はない。
島嶼奪還作戦は想像を絶するほど困難で過酷
もちろん人民解放軍はこのような“アマチュア”な作戦は実施しないであろう。万一中国指導部が尖閣を占領する
程度に腹をくくって軍事力を発動するのであるならば、むしろ宮古島や石垣島のような、飛行場も港湾施設もあり
地形も複雑で何よりも多数の住民が生活している軍事的価値の高い先島諸島の島を占領するに違いない。
もし宮古島を占領されてしまった場合に宮古島を奪還するには、自衛隊(+アメリカ軍)は(1)宮古島周辺海域と
空域から中国軍航空機や艦艇を締め出し、(2)宮古島と中国本土を結ぶ中国側補給線(複数)を寸断し
(3)宮古島と沖縄本島さらに九州などを結ぶ日本側補給線を確保し、(4)宮古島周辺海域の掃海(機雷の除去)
を実施し、(5)宮古島に接近上陸着陸し、(6)多数の島民を保護しながら、(7)占領中の人民解放軍侵攻部隊を
撃破する必要が生ずる。
「このような強襲上陸作戦の困難さを日本側は理解しているのであろうか?」と米海兵隊幹部は心配している。
いったん敵に島を占領されてしまった場合にその島を奪還するのは極めて複雑かつ困難な最高度の水陸両用作戦
(海空陸全戦力による密接な統合作戦)である。
それにもかかわらず、日本側は最初から「取らせてから取り返す」と公言してはばからない(もっとも日本側は
「尖閣占領・奪還」に限定はしている模様であるが)。このような傾向に対して「第2次大戦中に日本軍守備隊が
立て籠もる太平洋の島々を奪取したアメリカ軍の経験を学んでいるのか?」との感想も耳にする。
アメリカ側それも日本のような島嶼地形における対人民解放軍戦略を考えている軍関係者たちにとっては、
「取らせてから取り返す」ための「占領・奪還」シナリオよりも「取らせない」ための「邀撃・撃破」シナリオの方が
数等倍プライオリティが高い課題であるということになっているのである。