【事件】平成14年、西部邁さんや渡部昇一さんら「保守の論客」の著書が、千葉県船橋市の市立図書館で大量に廃棄されていた

このエントリーをはてなブックマークに追加
1再チャレンジホテルφ ★
 たいていの図書館は、人気雑誌の最新号をカウンターで保管している。
雑誌コーナーで誰でも手に取れるようにしていると、切り抜きや落書きの被害が
後を絶たないからだ。日本人のマナーの低下の一例として、よく取り上げられる。

 ▼東京都内の公立図書館で最近、300冊を超える本のページが破られ、
関係者は対策に頭を悩ませている。被害に遭ったのは、ドイツ占領下のアムステルダムで
家族と隠れ住んでいたユダヤ人の少女がつづった「アンネの日記」や、
アウシュビッツ強制収容所を題材にした書籍などだ。

 ▼つまり、ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害という、特定の分野に集中している。
犯人の動機は見当もつかない。一連の事件は、「マナーの低下」だけでは
説明できない不気味さをはらんでいる。

 ▼「焚書(ふんしょ)坑儒」は、秦の始皇帝の行った圧政のひとつだが、ヒトラーも「焚書」を実行した。
1933年、ナチス・ドイツが「反ドイツ的」と決めつけ、焼き払った本のなかには、
思想家のマルクスや精神医学者のフロイトの著作も含まれていた。
「アンネの日記」の今回の受難は、こうした言論弾圧を連想させる事件として、各紙で大きく報道されている。

 ▼平成14年、評論家の西部邁さんや上智大学名誉教授の渡部昇一さんら、保守の論客の著書が、
千葉県船橋市の市立図書館で大量に廃棄されていたことが、小紙の報道で発覚する。
教科書論議の高まりのなか、ベテランの司書が独断で手続きを進めていたのだ。

 ▼自分の思想信条に沿わない著者の言論を封じようとした意図は、明白だった。
まさに「焚書」と呼ぶのにふさわしい事件にもかかわらず、
小紙以外の新聞は、ほとんど無視した。今でも不思議で仕方がない。

2014.2.25 03:25
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140225/art14022503260000-n1.htm