生まれたのも、スケートを始めたのも同じ年。同時代に生まれたことを悲観する声もあったが、本人たちは否定する。
「彼女がいたから、今の私がある」と。10年越しの頂上決戦、差は思いのほか大きい。
キム・ヨナ(23歳)は言う。
「練習をしていると、息があがり、筋肉がちぎれそうになって、『もう無理』と感じる瞬間が必ずやってくる。
『これくらいでいいだろう』『次、頑張ればいい』という内なる声が聞こえてくる。けれど、そこであきらめてしまったら何も練習しなかったことと同じ。
たとえば、水の温度を99℃まで上げたとしても、最後の1℃を上げることができなければ、永遠に沸騰することはない。
これ以上は無理という瞬間を乗り越えてこそ、次のドアが開くのだし、そうなって初めて、私の望んでいる世界に行くことができる」
頂点に君臨する女王らしい、凄みと自信を感じさせる言葉だ。
いよいよ開幕したソチ五輪。19日(ショートプログラム。日本時間24時〜)と20日(フリースケーティング。同24時〜)、
この絶対女王に挑むのが宿命のライバル、浅田真央(23歳)である。
ソチを最後に引退を表明している浅田にとって、今回の戦いがヨナとの最終決戦。
前回のバンクーバー五輪ではヨナが金、浅田が銀だったが、2度目の五輪も「勝ったほうが金」の頂上対決となる。
バンクーバー五輪後、いったんは一線から退いたヨナ。右足甲を痛めた影響や、ブランクを心配する声もあったが、
1月に行われた韓国選手権で自身が持つ歴代最高得点に迫る227・86点をマーク。演技で雑音を封じ込めた。
「ヨナの魅力は男子顔負けのスピードとパワー、そして流れるようなジャンプ。彼女のジャンプはタメを作らず、
スピードのある助走から一気に跳ぶから、見ていて非常にスムーズでダイナミック。着氷後の流れも素晴らしい。ジャンプの教科書と言っていい」(スポーツライター・野口美恵氏)
そしてこの質の高いジャンプがヨナの最大の武器となる。フィギュアでは、技を成功させることで入る「基礎点」と、
「GOE」と呼ばれる技の出来栄え判定(±3点)を足したものが「技術点」となる。ヨナはこのGOEが高いのだ。
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