★安倍首相はダボスで何を言ったのか? - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 2014/1/28 10:59 冷泉彰彦
安倍首相はスイスのダボス会議の席上で、海外の記者との懇談の際に、英『フィナンシャル・タイムス』の
ギデオン・ラッチマン記者から「日本と中国の関係が戦争(war)に発展する可能性がある(conceivable)
のではないか」と問われたところ、「今年は第1次大戦から100年を迎える年。当時、英独は大きな経済関係に
あったにもかかわらず第1次大戦に至った歴史的経緯があった」と説明したといいます。
この「事件」に関しては、通訳が余計な文言を追加したためにトラブルが大きくなったという解説もあるようです。
事の真相は、仮にビデオなり音声が残っているのであれば、それを検証する必要があると思いますが、
問題は、このラッチマンという記者だけでなく、多くの有名なジャーナリストが「安倍発言に驚き、
かなり深刻な報道をしている」という事実です。
特にアメリカのネット誌『インサイダー』のCEOであるヘンリー・ブロジェット氏はラッチマン記者の
コメントをツイートすると共に、「安倍発言問題を含む、日中の緊張がダボス会議の参加者を驚かせた」と
報じています。更に、ロイター通信ではスティーブン・アドラー社長が、他の記者との連名で配信した
記事の中で「安倍首相はトラブルメーカー」という中国高官の表現を借りつつ、発言を批判しています。
>>2へ続く
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20140128-00118755-newsweek-nb >>1より
安倍首相の周辺には、その通訳の「一言が余計だった」という点など、色々と言い分はあるかもしれません。
何よりも「日中間に危機管理のホットラインを」という提案が真意であるのであれば、何度でもそのことを
誠実に説明すべきだと思います。
ですが、仮にそうであっても「第一次大戦で甚大な被害を受けたヨーロッパのど真ん中」で、特に「その大戦を
繰り返さないために国際連盟を設置したスイスという国」で、しかもその「国際連盟の常任理事国でありながら
自身が脱退することで連盟を事実上潰して再度の世界大戦を戦うことになった」日本の、その「戦前の歴史の
名誉回復」に熱心な首相が、「第一次大戦の100周年」というセンシティブな時期にこうした発言をするというのは
、日本を「再度孤立化へ」向かわせる自爆行為だと言ってもおかしくないと思います。(以下略)