「まるでウイルス」――。
パソコンに入力した文字列を全て外部に送信してしまう中国社製の日本語入力ソフト「バイドゥIME」。
国民の大切な情報を扱う役所や大学でも気づかないまま使われていたことに、関係者はショックを受ける。
便利なソフトなだけに人気も高く、推定利用者は200万人以上。
専門家は「便利なITサービスでも、利用者に仕組みを正しく伝えなければ、悪性のウイルスと同じになってしまう」と指摘する。
「市民の個人情報は漏れていないと信じたいが……」
愛知県豊田市の太田勝彦・情報システム課長はうなだれた。同市では25日午前、バイドゥ側のサーバーとの通信記録を調べ、
2時間に数十回の通信が行われていたことを確認。通信記録をたどると、14台のパソコンにバイドゥIMEがインストールされていることが分かった。
14台は、市民福祉部や企画政策部など計8部局で使用しているパソコン。
職員から聞き取ったが、いずれも「そんなソフトがインストールされているとは知らない」と驚いていたという。
情報セキュリティーの専門家によると、バイドゥIMEは、無料ソフトの配布サイトなどで、表計算や文書編集のソフトと「抱き合わせ」で配布されていることが多いという。
利用者は別のソフトをインストールしているつもりで、バイドゥIMEも入れてしまった可能性がある。
市では、このソフトを削除したうえで、バイドゥのサーバーに接続できないよう対策を講じた。
「今後も調査を重ね、仮に市民にかかわる情報漏えいがあればしっかり対応したい」と太田課長は話す。
外部ソフトのインストールが原則禁止となっている中央省庁でも発覚した。公用パソコン5台にインストールされていた外務省では、
職員が届け出て、情報通信課が「業務に必要」と認めれば許可される仕組みという。
担当者は「バイドゥIMEを許可した記録はない」としており、他のソフトをインストールする際に、入ってしまった可能性もある。
http://www.yomiuri.co.jp/net/news0/national/20131226-OYT1T00267.htm >>2