生活保護受給者のうち、原則70歳以上の高齢者に支給額を上乗せしていた「老齢加算」を
2006年に廃止したのは生存権を保障した憲法や生活保護法に反するとして、
北九州市の78〜96歳の33人が市に減額決定の取り消しを求めた訴訟の差し戻し控訴審判決が16日、福岡高裁であった。
原敏雄裁判長は原告の請求を棄却した一審福岡地裁判決を支持し、訴えを退けた。
原告は06年に提訴したが一審で敗訴。控訴後の二審福岡高裁が
「受給者の不利益を具体的に検討して減額幅が決められた形跡はなく、
生活水準維持への配慮も見られない」などと生活保護法違反を認め、逆転勝訴した。
市側の上告を受け、最高裁は二審判決について「客観的な数値や
専門的知見から判断していない」として12年に二審判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。
老齢加算をめぐっては同種訴訟が熊本や東京など9カ所で起こされ、
福岡高裁判決は唯一の原告勝訴だった。東京訴訟では12年に
「廃止判断に誤りはなく、憲法にも反していない」とする最高裁判決が確定した。
北九州市は老齢加算廃止前、原告に月1万7930円を加算した保護費を
支給していたが、加算分は04年度から段階的に減額、06年3月で廃止された。
=2013/12/16付 西日本新聞夕刊=
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_sougou/article/58437