経済産業省の産業構造審議会伝統的工芸品指定小委員会は29日、
国指定伝統的工芸品に、新たに福井県越前市などで製造されている越前箪笥(たんす)など3件の指定を了承した。
県内からは、1986年の越前焼以来27年ぶり、7品目目の指定となる。
経産相への答申を経て、1月をめどに官報に告示され正式に指定される予定。
県内で既に指定されている他の伝統的工芸品は
越前漆器(75年指定)、越前和紙(76年)、若狭めのう細工(同)、若狭塗(78年)、越前打刃物(79年)。
越前箪笥は江戸時代後期、力を持っていた商家など旦那衆と呼ばれる家に出入りしていた指物師によって製造されたのが始まりとされる。
ケヤキやキリなどを材料に、越前打刃物の鉄製金具や越前漆器の漆で飾り付けや仕上げが施されるのが特徴。
重厚な中にも手仕事の素朴な温かさが伝わる製法が現在も受け継がれ、越前市と鯖江市の13社が衣装箪笥などを製造している。
越前指物組合(上坂哲夫理事長、26社)が越前市や県とともに、2003年から指定に向けて取り組んでいた。
県地域産業・技術振興課によると、調査の結果、製法の一つである枠組(わくぐみ)箪笥は、
つなぎ部分に釘を使わず「ほぞ接ぎ」と呼ばれる技術で木材を組み合わせる点や、
金具、漆器で仕上げる点などが近隣の箪笥産地と比べ独特のものと分かった。
また越前市内には、1819年の「福田茂右衛門作」とされる箪笥や1880年代の「三崎半三郎作」とされる箪笥などが現存し、
ほぞ接ぎが使われていることも確認。100年以上の技の伝承を必要とする指定要件をクリアした。
7月26日に経産省に指定を申し出、現地調査や書類審査を経て、小委員会に諮られた。
正式に指定されれば、同組合が策定する振興計画に基づき、
後継者育成や新商品開発などに関する国の補助金や制度融資などの優遇措置が受けられる。
同委員会ではこのほか埼玉県の絹織物「秩父銘仙」と熊本県の「山鹿灯籠」の指定も了承。
全国の指定は計218品目となる。
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/politics/47235.html 伝統的工芸品に指定される福井県の「越前箪笥」
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