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>>1の続き)
オススメの類書もレコメンド(推薦)機能で自動的に表示されるので、
在庫を抱えていない小さな書店よりネットの方がよほど出会いが多い。
ネット書店の方が利用者にとってメリットが多い限り、書店不況の原因は自らの改善努力不足によるものと言っていいだろう。
もうひとつの根深い問題が、リアル書店や出版業界自体が長年抱えている構造的な「流通制度」である。
書籍・雑誌は「出版社→取次会社(卸業者)→書店」のルートを経て読者の手元に届く。
取次会社が店舗規模や過去のデータ、地域特性などを考慮し、どの書店にどの本をどれくらい「配本」するかを決めるのだ。
これを「パターン配本」と呼ぶが、書店の仕入れ作業は効率化するものの、
取次会社任せの仕入れになるため、本の品揃えで独自色を打ち出すことができなくなる。
出版社側が「この書店にこの本を○部配本」と指定する「指定配本」もあるが、全国すべての書店を把握することはできない。
また、パターン配本は必ずしも平等に行われるわけではない。
大型書店には話題の小説が大量に平積みされているのに、地方の零細書店には1冊も配本されないという事態も起きる。
店頭注文しても取り寄せまでに1〜2週間かかることはザラなので、読者が離れていくのは当然だ。
ただし、新しい考え方で書店を再生させようという試みも見られる。
東京・港区に店舗を構える老舗書店の山陽堂書店は、2011年から店内にギャラリースペースを設置。
絵画の展示会やトークセッションを開催し、居心地のいい空間づくりでファンを増やしている。
また千葉市にある中島書店では、県産野菜を店内で直売。野菜のレシピ本も併せて販売していることから、地域の主婦層に人気だ。
ただ本を並べているだけの楽な商売では、業界が成り立たないのは以前から言われていたこと。
工夫できるところとそうでないところの差が、ますます広がっていくのだろう。(終わり)