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>>1の続き)
この警告は、科学的知識に乏しい政治家などの発言ではなく、原子力の脅威を熟知する世界の第一人者の発言である。
だがわが国は博士の警告を無視して原発を導入し、今回の原発事故に至った。こうして不幸な結果が出たからには早々に原発と
決別するのは当然のなりゆきだ。
われわれが信じてきた原発に関する4つの神話は福島原発事故によってことごとく崩壊した。@安全神話、A低コスト神話、
Bクリーン神話。さらに、原発に依存しなければ経済も生活も成り立たないというC原発不可欠神話である。今や日本の原発は
プラス面がほとんど否定されてしまったのである。
■日本の原発依存が不適格である6つの理由
小泉氏に対するもう1つの批判は“主張資格”に関するもの。「元首相の言うことか」、「推進派だったじゃないか」と脱原発を主張する
資格がないと言わんばかりだ。それなら私も容認してきたから同罪である。
これに対して小泉氏は「過ちを改むるにはばかることなかれ」と素直に過ちを認めている。
原発政策については、彼だけでなく反省、後悔、責任の念を抱く政治家は少なくないだろう。元首相であればとりわけ痛切にそれを
感じているはずだ。そして、福島原発事故から学び、深く反省した人が強力な脱原発の一翼として立ち上がっているのだ。
われわれは今回の事故によって、日本の原発依存の不適格性をあらためて強く確認させられた。
他国と比べて不適格なのは、まず有数の@地震国であること。そして、A海洋国であること。海に囲まれていることによって大津波の
襲来と事故後の海洋汚染が避けられない。B人口密集国であることも、立地の困難を招き事故被害も甚大となる。将来にわたって
C最終処分施設の建造が至難の業であることも国土構造の特徴だ。
加えて社会的、政治的要因もある。D利益共同体の色合いが強い原子力ムラの存在。業界と学会の癒着に対する不信感は消えない。
(さらに続きます)