■「取り組み遅れた」
「スマホへの取り組みが遅れ、魅力のある商品がつくれなかったことが敗因だ」。NECの川島勇取締役は31日の会見で、国内携帯市場の8割を占め、拡大を続けるスマホから撤退する理由を聞かれると、うつむきがちに答えた。
スマホの開発は31日付で打ち切り、生産も発売中のモデルで終える。NECの携帯事業は、スマホの不振で2012年3月期までの3年間で計約400億円の赤字を計上。とくに今年4〜6月は不振を極め、スマホの出荷台数が従来型携帯を下回ったという。
携帯の生産拠点のNEC埼玉(埼玉県神川町)は無線機などを生産する拠点に変え、その一部で「ガラパゴスケータイ」といわれる従来型携帯をつくる。
川島取締役は「従来型は開発費用が安く、年数十万台の需要があれば収益が見込める」とする一方、「需要が伸びることはなく、今後の投資もしない」と携帯事業からの完全撤退にも含みをもたせた。