○松本姓のルーツ 今月から本格除染
東京電力福島第一原発事故で全村避難が続く葛尾村の「かつらお大尽(だいじん)屋敷跡公園」の
除染が、今月から本格的に始まる。屋敷跡は、村民の4割近くを占める名字「松本」のルーツで、
震災前から憩いの場として親しまれてきた。村は除染が終わり次第、震災で壊れた石垣の修理
などに着手し、「復興のシンボル」として再整備する考えだ。
村教育委員会によると、屋敷跡は、中世から十数代にわたって製鉄や酒造、養蚕などで栄華を誇り、
「葛尾大尽」と称された松本家の邸宅跡。松本家は元々、信州・葛尾城主の系譜だったが、領地を
奪われ、現在の葛尾村に移ったという。
建物は1871年と1933年に火災で焼失したが、約2・5ヘクタールに及ぶ敷地内には、石垣や池、
磨崖仏(まがいぶつ)、蔵の礎石などが残っており、2007年に公園として整備された。約1500人の
村民の4割を占める松本姓の起源となったほか、村の指定文化財にもなっている。村は公園を
中心に、様々な観光交流事業を展開してきた。
公園一帯は原発事故で計画的避難区域に指定されたが、今年3月の再編で、日中の出入りが
自由にできる避難指示解除準備区域となった。村が調べたところ、地震で石垣がずれたり、石の
階段に亀裂が入ったりしていたが、大きな被害はなかった。
環境省は4月から村内で本格除染を開始。今月10日には、屋敷跡の除染に向けて、村と合同で
現地の確認作業を行った。中旬以降に除染を始め、数か月かけて終える見通しだ。村は除染
終了後から修繕に入り、住民も見学できるように整備する。
村教委の松本智恵子社会教育係長は、「葛尾村が復興するためのシンボルとして、村民も立ち
寄れるように、除染や復旧を進めていきたい」と話している。
□ソース:読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukushima/news/20130915-OYT8T00640.htm