接骨院や整骨院など柔道整復師法に基づく施術所が、効能として「肩こり」「腰痛」などの広告を違法に掲げる例が後を絶たない中、
奈良県橿原市が独自調査を始め、改善指導に乗り出したことが12日、同市への取材で分かった。
厚生労働省によると、自治体が一般からの通報を待たずに独自の判断で調べる例は「聞いたことがない」といい、
業界団体も「法律を順守する多くの柔道整復師にとって、看板の取り締まりは大歓迎」と話している。
柔道整復師法は虚偽や誇大広告を防ぐため、病名や効能などを看板などに記すことを禁止している。広告としては▽氏名
▽所在地▽電話番号▽施術日と時間−−などの掲載しかできず、違反すれば30万円以下の罰金が科せられる。広告制限は
1961年に最高裁で「表現の自由を侵害しない」という判決が確定しているが、違法広告は根絶されず、警察が立件した例もある。
柔道整復師の施術所への立ち入り検査や業務に関する指示などの権限は、都道府県にあり、
通報があった場合に調査して改善を求めるのが通常だった。
奈良県が今年4月、橿原市に検査などの権限を移譲。同市はこれを機に、市内の約50カ所ある施術所への検査を強化する方針を決め、
6月には通報を受けない形で調査を実施。違法な看板を複数確認し、9月から改善指導を始めた。今後、改善されない場合は、
より強い指導を検討する。さらに市内の施術所のリストを作成して、年度内を目標に全戸配布やホームページに掲載し、無届け営業などを防ぐ。
橿原市保険医療課は「『肩こり』や『腰痛』などを効能として広告に掲示することで、(通常の医療行為と同じように)
保険が適用されると誤解する可能性もあり、法律通りに改善を強く指導していきたい」と説明する。
柔道整復師約1万7000人が加盟する日本柔道整復師会(事務局・東京)の工藤鉄男会長は
「職業倫理を持って正しく対応してきた多くの柔道整復師にとって、違法看板の取り締まりはあってしかるべきこと。
積極的に行っていただきたい」と話している。【矢追健介】
毎日新聞 9月12日(木)15時0分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130912-00000041-mai-soci