【毎日新聞】便意を催し、駆け込んだら女子トイレだった…盗撮事件が後を絶たない。デジカメという文明の進歩が人の欲望をゆがませるのか

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 初めて訪れたホテルや商業施設で、にわかに便意を催し、駆け込んだら見慣れた小便器が並んでいない。
血の気がひく思いで、後戻りすると女子トイレだったというそこつな失敗をしでかしたことのある方はいないだろうか。
男女兼用のトイレも珍しくなかった田舎から出てきた私には、この過失は都市生活に潜む危険の一つに思える。

 「社内の女子トイレでカメラが見つかって大変なんだ」。知り合いの社長さんから夜、そんな電話がかかってきた。
「あなたの会社ですか?」「だったらもっと大変だ」。

 なんでも懇意にしている人がいる別の会社でのことで、カメラを置いたと疑われているのが、その会社の幹部なのだという。
ただ、決定的な証拠はない。警察に相談しているというので「捜査の行方を見守ることですね」と答えた。

 盗撮事件が後を絶たない。デジタルカメラという文明の進歩に、人間の欲望の制御機能の進歩が追いつかない悲しさなのか。
それとも文明の高度な進歩が、人の欲望をゆがませるのか。個室で用を足しながら考えた。ふと不安がよぎり自問する。
「確かにここは男子トイレだよな」【下薗和仁】

ソース:http://mainichi.jp/opinion/news/20130730ddg041070012000c.html