大学生たちは、安重根が1907年にウラジオストクに渡って抗日運動に身を投じ、09年10月26日に中国・ハルビン駅で日本の韓国統監府初代統監だった伊藤博文を暗殺し、
翌年3月に大連市の旅順監獄で処刑されるまでの足跡をたどり、今月5日に韓国を出発、8泊9日間の旅をしていた。
安重根の記念碑が撤去されたことを確認した次の日、一行は独立軍が日本軍との戦いに初めて勝利した中国吉林省図們市の「鳳梧洞の戦い(1920年)」の戦跡を訪ねた。
一行はここでも、記念碑が空き地の片隅に放置されているのを目の当たりにした。管理事務所側は「リニューアル工事を行っている最中のため、
一時的に撤去した」と説明したが、ツアーに参加したチン・スリョンさん(20)=淑明女子大学経営学科2年=は
「命を懸けて国を守るため戦った独立運動家たちの足跡が、こんなみすぼらしい状態になっていて、とても残念だ」とうなだれた。
ツアーの8日目、一行は安重根が『東洋平和論』を執筆し、最後まで韓国独立への熱意を燃やし続けた旅順監獄を訪れた。安重根が最後の瞬間までいた独房や、
処刑された場所などを見て回った。ところが、安重根の遺体が埋葬されたと推定され、発掘作業が行われた監獄近くの場所には、
数年前からマンションなどの建設が始まった。多くの無名の人々が命を落とした場所で、
学生代表のイ・ヨンジュンさん(33)=国民大学大学院=は「抗日運動の痕跡が忘れ去られていくのは心苦しい」と話した。
一行を率いた成均館大学のイ・ヨンオク名誉教授(67)は「大学生たちは安重根の歩んだ道をそのままたどり、
忘れ去られていく抗日運動の精神を呼びさましたようだ。安重根の行動を見習い、学生たちもそれぞれの立場で最善を尽くす、
現代的な意味の『義士』になることを望む」と語った。(終)