将来の有人火星探査を担う米航空宇宙局(NASA)の大型ロケットについて、
日米がエンジンの共同開発を検討していることが14日、分かった。
日本の次期大型ロケット「H3」(仮称)のエンジンと基本設計を共通化し、両国で次世代機のコスト削減につなげるのが狙い。
実現すれば心臓部のエンジンで米国が日本の技術を採用する初のケースとなり、宇宙開発の日米協力が加速しそうだ。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、共同開発を検討しているのは米国の次世代ロケット「SLS」の上段エンジンと、
日本のH2Aロケットの後継機となるH3の2段エンジン。大きさや推力がほぼ同じで共通化が可能とされ、
NASAとJAXAが交渉を進めている。
SLSはスペースシャトル退役後の有人飛行や物資輸送を担う全長100メートル級の超大型ロケット。
NASAは2017年に無人の初号機、30年代に有人火星探査での打ち上げを目指すが、巨額の開発費が米国内で批判を浴びており、
費用削減策の一つとして日本との共同開発を検討している。
共同開発案によると、21年以降に打ち上げる有人対応可能な機種の上段に、三菱重工業などが製造するH3の2段エンジンを搭載。
公共事業に自国製品の優先調達を義務付ける規制に対応するため、部品の一部は米国で開発・製造する。
このエンジンが火星探査に使われる可能性もある。
一方、H3は来年度に開発を開始し、20年の初打ち上げを目指す。国際競争力を強化するため、
打ち上げ費用をH2Aと比べて半減させることを目標に掲げている。
製造費に占める割合が大きいエンジンを米国にも供給できれば、量産効果でコスト削減が見込める。
日米の宇宙機関は国際宇宙ステーション(ISS)の建設などで協力してきたが、ロケットのエンジン開発で手を組むのは初めてで、
JAXA関係者は「実現すれば日米双方に大きな利益となる」と話す。H3の具体的な開発方針は今後、政府の宇宙政策委員会で検討する。
http://sankei.jp.msn.com/science/news/130715/scn13071509060000-n1.htm 次期の主力となる大型ロケット「H3(仮称)」の想像図
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