沖縄戦から68年。地上戦の傷痕の深さを痛感させるデータが新たに示された。
沖縄戦を体験した高齢者の4割が、深刻な心の傷(トラウマ)を抱え、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症、
あるいは今後発症する可能性がある、との沖縄戦トラウマ研究会の調査結果だ。
苛烈な体験に加え、戦後も米軍基地から派生する事件・事故や騒音被害などが戦争を想起させ、
今なお高齢者の生活を脅かしている。この現実と向き合い、未来をどう切り開いていくか。
本年度、新たに62人を刻銘した糸満市摩文仁の「平和の礎」。刻銘者の総数は24万1227人となった。衆院議長や自民党総裁を歴任した河野洋平氏は今年、
「敵味方、軍民、国籍の区別なく戦没者を刻銘した平和の礎は現在の日本が最も必要とする考え方を具現化している」とあらためて礎の意義を評価した。
戦後も沖縄は米軍の出撃基地として、朝鮮戦争からイラク戦争に至るまで戦争の影をひきずってきた。しかし現在の局面は、これまでと明らかに異なる。
日本は戦争に向けた準備段階に入っている。そう唱えれば、杞憂(きゆう)だと一笑に付されるだろうか。
歴史には曲がり角がある。日中の海上での攻防が常態化する契機となった尖閣諸島の国有化も、その一つだろう。
今後は、憲法改正や集団的自衛権の行使容認が時代の転換点になる可能性もある。
他国の脅威ばかりが強調される中、戦争に備える動きを肯定するのが当然のようになっていないか。
ソース 沖縄タイムス
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-06-23_50804 (続)