太平洋戦争末期の沖縄戦を体験した沖縄の高齢者の4割が、戦後68年が経過した今も、トラウマ(心の傷)が原因の
心的外傷後ストレス障害(PTSD)になっている可能性が高いことが沖縄の研究グループの調査で分かった。トラウマを
主眼にした沖縄戦体験者の大規模な調査は珍しく、凄惨(せいさん)な地上戦に巻き込まれた住民が負った精神的な
傷の深さが改めて裏付けられたと言えそうだ。沖縄は23日、沖縄戦の慰霊の日を迎える。
研究グループは沖縄県内の精神科医や保健師ら6人でつくる「沖縄戦トラウマ研究会」
(代表、當山(とうやま)冨士子・元沖縄県立看護大教授)。
昨年4月から今年2月、読谷村(よみたんそん)や糸満(いとまん)市など、離島を含む8市町村で、75歳以上の男性53人、
女性348人の計401人に面接。トラウマの程度を評価する国際的な尺度「改訂出来事インパクト尺度」を使い、
22項目の質問に対する回答を点数化した。
有効回答があった359人のうち、PTSDの可能性が高いとされる25点以上になったのは39%にあたる141人。
PTSDの可能性が高くないグループでは「身近な人などが危険な目に遭うのを目撃したか」の問いに「目撃した」と答えた人は37.2%だったが、
PTSDの可能性が高いグループでは「目撃した」と答えた人が57.9%に達した。このほか、
可能性が高いグループの方が沖縄戦を思い出す頻度が高い傾向もあった。
「隠れていた壕(ごう)が爆風で壊れて生き埋めになり、1週間意識を失った」と話した80代の女性は、
昨年10月に米海兵隊垂直離着陸輸送機オスプレイが沖縄に配備された後、戦争をよく思い出すようになったと訴えた。
「低空飛行の時は頭の中で『帰れ、帰れ』と言っている。1人で家にいるのが怖い」と話したという。
當山代表は「沖縄戦の心の傷が残っているうえに、米軍基地に派生する騒音や事件事故によって、
つらい記憶を忘れたくても忘れられない状況になっている。国や沖縄県は体験者が存命中に徹底した調査をすべきだ」と話している。【井本義親】
毎日新聞 6月22日(土)12時22分配信<沖縄戦>体験の高齢者、4割がPTSDか 精神科医ら調査
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130622-00000038-mai-soci