(
>>1からの続き)02/10
同委員会は、「多くの労働者が長時間労働に従事していることと、過労死や精神的な
ハラスメント(嫌がらせ)による自殺が職場で発生し続けていることを懸念する」とし、
長時間労働の防止を強化することや、労働時間の制限に従わない場合は制裁を
科すよう求めたうえで、「必要な場合は、職場におけるあらゆるハラスメントの
禁止・防止を目的とした立法、規制を講じるよう勧告する」としている。
社会権規約は世界人権宣言に基づく条約で、守るべき労働条件に「休息、余暇、
労働時間の合理的な制限」などを明記。日本を含む締約国160カ国には、取り組みを
国連に報告する義務があるため、日本政府は何らかの改善措置を迫られることになる。
政府はちゃんと、長時間労働がなくなる“措置”をやってくれるのだろうか?
長時間労働を強いている企業は、この勧告をどう受け止めたのだろうか?
ううむ、何となく表向きの措置だけが取られて、長時間労働や過労死が改善
されることはない。そんな鬱屈とした気分になってしまうのはなぜなのだろう。
■■■ 改善されているとは言い難い過労を巡る状況
KAROUSHI──。
「日本において働き過ぎが原因で、心身ともに消耗して死に至ること」と定義されるこの
言葉が、英語辞書の最高峰と言われている「オックスフォード・イングリッシュ・ディクショナリー」
に追加されたのは2002年、今から10年ほど前のことだ。
数年前に比べると、過労死に関する記事も減り、小さな囲み記事程度の扱いになって
しまっているが、登場回数が減ったからといって過労死が減っているわけではない。
厚生労働省の統計によると、2011年度に脳や心臓の疾患などで死亡し、過労死として請求されたのは
302件で、2003年の319件から改善されたとは言い難い(死亡者の請求数が記録されているのが2003年以降)。
(次へ続く)02/10