有料老人ホームの閉鎖を受け、柏市から埼玉県鶴ケ島市に集団転居した生活保護受給者十五人の保護費負担をめぐり、
柏市と鶴ケ島市がつばぜり合いを演じている。
生活保護法では、居住地の自治体負担が原則だが、鶴ケ島市が埼玉県内の独自ルールを理由に移管に難色。
やむなく負担を続ける柏市は「財政が厳しいのはどこも同じ」と、移管を求めて協議が続いている。
柏市内の有料老人ホームは三月に閉鎖となり、入居者の一部が同じ運営会社系列の鶴ケ島市にある有料老人ホームに移った。
そのうち十五人が生活保護を受けていたため、柏市は鶴ケ島市に支給手続きの移管を打診。
ところが、「転居して他市の老人ホームに入居する場合、従前の居住地の自治体が負担する」という埼玉県内のルールを持ち出し、拒否されているという。
厚生労働省の通達では、介護サービスを受ける「施設」に入る場合、
例外的に転居前の自治体が負担し支給するよう示す一方、自立した人が暮らす「住居」では例外は認めていない。
今回の老人ホームは「住宅型」と呼ばれ、施設の職員は介護サービスを提供しないタイプ。
通達でも扱いは明示されておらず、柏市は「住居」、鶴ケ島市では「施設」とみなし、
双方の解釈相違も移管手続きがこじれた背景にある。
柏市が四月分として十五人に支給した生活保護費は計百三十七万円。
四分の三が国負担で、実質負担は約三十四万円。
柏市生活支援課は「どこも財政が厳しく、普段から移管には気を使う。
今回は十五人という多さに、鶴ケ島市の対応が心情的に厳しくなってしまったかもしれないが、
有料老人ホームは住居とみなすのが一般的。今後も協議を続ける」と話した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20130508/CK2013050802000109.html