"“自腹”痛まない受給者、交通事故治療費も公費で…自治体に損害保険請求権を"
生活保護受給者が交通事故で負傷した際の治療費などについて、加害者や損害保険会社への賠償請求権を自治体にも付与する
「第三者求償権」の創設を厚生労働省が検討していることが4日、分かった。本来、事故時の治療費は加害者側が支払うべきだが、
医療費の自己負担がない受給者が請求手続きを行わず、結果的に公費で負担しているケースが目立つため。
負担分の返還はこれまで自治体が受給者に対し、保険会社に支払わせるよう求めるしかなかったが、
自治体が保険会社に直接請求できるようにすることで支給の無駄を避けるのが狙いだ。
厚労省は近く国会提出する生活保護法改正案に求償権規定を盛り込む方向で調整している。
受給者の医療費は生活保護の「医療扶助」で全額カバーされており、保険会社と医療費の支払い交渉をするインセンティブ(動機づけ)が働きにくい。
厚労省によると、事故の治療費を公費負担した詳細な統計はないとみられるが、「保険でも医療扶助でも自己負担はない」として、
保険会社への請求を放置する受給者が多いという。
一方、保険会社側も被害者が受給者の場合、保険での医療費の支払いを渋るケースがあり、生活保護に関する国と地方自治体の協議でも、
こうした保険会社の姿勢に批判が出ていた。
また、事故の示談交渉が数カ月にわたってまとまらない場合、困った医療機関側が福祉事務所に医療扶助での支払いを求める例もあり、
「なし崩し的に公費で負担せざるを得ない」(元ケースワーカー)という問題点も指摘されている。
さらに、受給者が保険金を受け取っても自治体に申告しない不正受給が年々増加。平成23年度は1325件に上り、
自治体が示談交渉の経緯を把握できる仕組みが求められていた。
国民健康保険法や健康保険法では求償権が規定されており、厚労省社会保障審議会の特別部会は1月にまとめた報告書の中で、
生活保護の場合でも「福祉事務所が受給者に代わり、損害賠償を直接請求する求償権が必要」と提言していた。
産経新聞 2013.5.5 13:16
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/130505/wlf13050513200015-n1.htm