2007年に発表された「現代中国青年人口発展状況研究報告」によると、中国では15歳から35歳の未婚比率は50%を超えている。
幸運にも結婚できたり、恋人が見つかった男性であっても、「一人っ子政策」や「男児優先」の伝統に縛られているのは変わりない。
家の存続という問題に加えて、もともと中国では労働力に直結し、高賃金を稼ぐことのできる男児を尊ぶ気風が強い。
地方には女児が生まれたら間引きする悪しき風習がいまだに残っているともいわれている。
女児を妊娠したと判明した時点で、中絶するカップルは後を絶たない。
中国の性事情に精通するノンフィクションライターの高山祐介氏は、その悲惨な現状を指摘する。
「年間約1300万人が中絶手術を受けているといわれています。
中絶を扱う病院の『400元(約6600円)で痛くない、日帰りもOK』なんてラジオCMが堂々と流れているほどです」
中国政府は避妊を奨励し、啓蒙活動にも力を注いでいる。
実際、大都会のマンションにはコンドームと、万が一、膣内で射精した場合に女性が服用する避妊薬
(アフターピル)が無料で出てくる機械が設置されており、そこには「国家免費提供」の文字が書かれてある。
上海在住の28歳の公務員はいう。
「2歳下の彼女がいるけど、安全套(コンドーム)は感触がよくないからしない。主に外出しだね」
彼の友人は、もっぱら“中出し”だという。妊娠の心配について尋ねると、余裕たっぷりに笑ってみせた。
「射精後に彼女が避妊薬を飲めばいいことでしょ。それが効かなかったら、中絶する。
これは僕らカップルだけじゃなくて、若者の一般的な常識だよ」
拡大する貧富の格差、一人っ子政策が生んだ結婚難民の増大、一生セックスができない男が急増する一方で広がる安易な妊娠と堕胎――
13億人のセックス大国の「性欲」はその膨張とともに大きな歪みを露わにしつつある。
http://www.news-postseven.com/archives/20130429_184558.html