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>>1の続き)
確かに、衆議院公式ホームページの中継サイトでも録画は見られるが、「こんな
公共放送で大丈夫か?」「知る権利より著作権が優先されるんだ」との不満が相次いで
いる。内容が慰安婦問題だっただけに、どこかの団体から要請があったのではないかと
いった憶測まで出ている状態だ。
2ちゃんスレでは、著作権法上も国会中継動画の削除はおかしいのではないかという
指摘があった。第10条の2では、事実の伝達に過ぎない雑報や時事報道は著作物に該当
しないとあり、また、第40条では、政治演説はいずれの方法でも利用できるとされてい
るからだ。
こうした点について、立教大学の上野達弘教授(著作権法)は次のように解説する。
NHK「これまでも削除を要請しています」
「10条にある『雑報』とは、10〜20文字ほどの短い死亡記事などをイメージしてい
ます。国会中継は長い時間にわたって撮影していますから、それを適用するのは難しい
でしょう。また、40条では、確かに、政治演説は広く知られた方がよいということから、
自由に利用できることになっています。しかし、それは演説している人の著作権が
制約されるということであって、NHKは演説している本人ではなく別の人格になります。
とすると、NHKは著作権を主張できることにもなるわけです」
つまり、国会中継を無断で投稿すれば、著作権侵害になる恐れがあるということだ。
ただ、上野達弘教授は、法的には難しいものの、ドラマや音楽番組とは違い、国会
中継は広く国民に知られた方がいいという主張ももっともだとする。
「ユーチューブに投稿した人はそれで大きな利益を得るわけではないですし、NHK
にしても収入が減ることにはなりません。今回は、公共性が高い国会中継ですので、自
由に使わせてもいいのではというのも分かります。投稿でかえって音楽が売れたことも
あるわけですし、ネットに上がったコンテンツをどうするかは、将来の課題になるでしょうね」
(続く)