★麻生太郎氏の“マフィア・スタイル”の勘違い
安倍新内閣に限るわけではないのだが、日本の政治家たちの海外出張の時の装いにはいつも違和感を覚えさせられる。
先月中旬、モスクワで開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出発したときの麻生副総理・財務相のいでたちは、
違和感を超えたインパクトがあって結構な話題になった。その理由は、気合はたっぷりなのに「意図不明」だったからだ。
アベノミクスによる円安誘導、との各国からの批判を少しでもかわすため? というわけではなかっただろうし。
問題の装いは、ファーの襟付きの黒のロングコートに淡いブルーのマフラー、斜めにかぶった黒のボルサリーノ。
この組み合わせはファッション的には粋なクラシックスタイルなのだが、彼の人相の特徴ともあいまって、
たいていの人はイタリアのマフィアを連想してしまっただろう。アメリカのウォール・ストリート・ジャーナル紙も「粋なデビュー」としつつも、
それを「ギャングスター・スタイル」と評した。
政治家の中ではとの限定付きで言えば、麻生氏のファッション感度は自他共に認めるトップクラスの一人だ。
たとえば夏の「クール・ビズ」の装いでも、多くの政治家たちがスーツのネクタイをただ外しただけだったりほとんどゴルフ場スタイルみたいだったりする中で、
麻生氏はシャツの素材とボタンの外し方、カラーコーディネートなどでいつも抜群のセンスを発揮している。もうだいぶ以前に、ベストドレッサー賞も受賞した。
今回の“マフィア・スタイル”でも、素材はもちろん十分に上質だしワイシャツのサイズやネクタイの締め具合にも隙がない。
日本の政治家や官僚、そしてビジネスエリートたちのファッションで共通して見られる欠点の一つは、まずサイズが身丈ときちんと合っていなくて、
たいていは大き過ぎること。そのためどこか不活発に見える。
もう一つが、ネクタイの色がスーツの色と形に全く合っていないこと。ネクタイの色と柄が派手過ぎるのが原因だ。それは多分、
自分で選ばずに人から贈られたり夫人(ないしは特定の女性)が買ってきたりしたものを使っているからだろう。(
>>2-3へ続く)
asahi.com 2013年3月1日
http://www.asahi.com/and_M/style/TKY201302280164.html?ref=comtop_fbox_u