大阪府阪南市の酒造会社「浪花(なにわ)酒造」が、「純米酒」に醸造アルコールを混ぜたり、
「大吟醸酒」や「吟醸酒」に規定以上の醸造アルコールを加えたりして販売していたことが、同社への取材などで分かった。
大阪国税局が成分を分析して発覚したという。同社は表示に誤りがあったとして、対象となる約2000本の自主回収を始めた。
同社によると、味の均一性を保つため、吟醸酒などの新酒に前年製造した同種の古酒を2〜3%混ぜて出荷していた。
しかし、古酒の在庫がなくなったため、醸造アルコールや糖類の入った安価な酒を混ぜたという。同社は「以前から在庫が
なくなった際は同様の混ぜ方をしていた。味を保つためだったが、消費者をだます行為。今後は再発防止に努めたい」としている。
回収の対象は、同社が製造した純米酒、大吟醸酒、吟醸酒、純米大吟醸酒、特別純米酒など。飲んでも健康への影響はないという。
国税庁の基準では、純米酒の原料は白米と米こうじのみと規定されている。大吟醸酒や吟醸酒は、
香味を調える効果がある醸造アルコールを使用できるが、醸造アルコールの量は白米の重量の10%以下に制限されている。
基準を満たさなければ「純米酒」や「吟醸酒」などの表示はできず、違反すると50万円以下の罰金が科せられる場合がある。
酒類の製造・販売免許を管轄する国税庁は、酒類の安全性を確保するため品質や表示事項の調査もしており、
各国税局には酒類の分析や鑑定を担う鑑定官室が設置されている。酒蔵への税務調査の際に酒の成分分析を行うこともあり、
今回の違反も税務調査で判明したという。
同社は江戸時代中期から約300年続く老舗で、「浪花正宗大吟醸」は全国新酒鑑評会で12年まで4年連続で金賞を受賞。
08年の北海道洞爺湖サミットでは同社の酒が提供された。【牧野宏美】
毎日新聞 2月26日(火)2時30分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130226-00000005-mai-soci