【産経抄】2月19日
2013.2.19 03:10 [テレビ局・放送行政]
テレビの放送開始60年を記念して、NHKで今月はじめに生放送された番組に、
明石家さんまさんが出演して話題となった。NHKに登場するのは、28年ぶりだ。
▼さんまさんによると、1980年代に人気を博した「クイズ面白ゼミナール」に出演中、
あくびをしたのがばっちり画面に映り、それから声がかからなくなったという。
▼「クイズ面白ゼミナール」といえば、「主任教授」の鈴木健二アナウンサーの名調子と、
9ケタの数字を諳(そら)んずる驚異の暗記力が懐かしい。
『気くばりのすすめ』をはじめベストセラーを連発する、億万長者でもあった。
ただし著作のなかで、「規模は一流のように見えるが、給料は五流の組織」などと、NHKの薄給ぶりを強調していた。
▼鈴木さんの言葉にウソがないとすれば、NHKは、さんまさんの「不在」の間に、
給料でも「一流」の組織に変身したことになる。
なにしろ職員の平均年収は約1185万円、厚生費などを入れた人件費は、1780万円にも達する。
受信料という安定収入のおかげで、多くの日本企業を苦しめるデフレとは無縁らしい。
▼基本賃金を今後5年間で10%削減して、「能力主義を導入」するとの改革案には、あきれてしまう。
平成16年には、不祥事の続発がきっかけとなって、受信料不払いが続出するという危機を経験したばかりだ。
この程度の改革はとっくに実行しているものと、思い込んでいた。
▼昭和59年に、受信料値上げをめぐってNHK批判が高まったとき、
鈴木さんは月刊誌「正論」で、受けて立ったことがある。
論文のタイトルは、「NHK批判の俗論を排す」だった。鈴木さんにとって、現在のNHKも、擁護に値するのだろうか。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130219/trd13021903340000-n1.htm