【TPP】業を煮やした米国は自民党有力者へのロビー活動に力を入れ始めたと産経新聞
日本国内でTPP参加論が経済界を中心にして急激に高まったのは、
輸出品目で競合関係の強い韓国が、米国とFTAを結び日本より競争条件で優位に立っていたことが大きい。
欧州や他の経済圏とも次々とFTAを結んで行ったのが、米国と強く結びついていた李明博大統領だった。
だから米国は、慰安婦問題でも一貫して韓国の立場に寄り添っていたわけだ。
この間、政策的に急激な円高が演出されることによって、日本製品の競争力は劇的に凋落してしまった。
勢い、TPP参加論が強まることは必死だった。日本にとっての「受け皿」となるTPP構想を打ち出したのは
シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国だが、もちろんその影で糸を引いていたのが米国である
ことは言うまでもない。TPP交渉に参加しなければ条件闘争できない、同意できないなら離脱すればいいなどと
安易に考えている論者も多いが、残念ながら日本には何の主導権もなければ、この先持てる可能性もない。
経済交渉において優位に立つのは市場規模の大きい国であり、ある経済圏において支配力を持つ国もまた、
その中で一番市場規模の大きい国であることは、中国や欧州ドイツを見れば一目瞭然だろう。
TPPはどこまで行っても「米国経済圏」にしかならないのである。
そこでは一方的に米国の思い通りの競争条件が作られてゆき、日本は抵抗の手段を奪われる一方なのは、
今日においても狂牛病米国牛肉の輸入解禁を不条理に強いられてることからも自明ではないか。
太平洋において自由貿易圏を拡大してゆくことが日本の国益だとの考えも、幻想であり妄想にすぎない。
もはや日本の産業優位性は失われており、人口減少と高齢化でその傾向は一層強まっていく。
従って、高関税や貿易障壁を効果的活用しながら、日本の産業を防衛しなければいけない立場に変わっているのだ。
米国はピックアップトラックで高関税だし、家電や太陽電池・風力発電機などでアンチダンピング関税を次々課してる
のに、日本は農産物以外でほとんど非関税にしてしまっているのは愚か極まりない。
この先、米国はシェールガス革命の恩恵でどんどん競争力が高まってくるのに自由貿易こそ日本の国益だというのは、
日本の競争力に対する過大な幻想に酔って、現実を認識できていないためである。