【アルジェリア】 英特殊部隊(SAS)、出動準備

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628名無しさん@13周年
私は目を疑った.ソ連兵が追いかけてきていれば,銃声を聞かれる恐れがある.敵は徹底的に報復するだろう.なぜあんなふうに少年を殺さねばならないのか,私には理解できなかった.

 彼らは,腹を裂かれた死体を岩の上に放置した.

 我々は前進を再開し,基地にしている村のすぐ外までやってきた.
 私は十分に距離を置いていた.もう何も見たり聞いたりしたくなかった.何よりも,残る一人のソ連兵と再び目を合わせたくなかったのだ.
 顔を上げるたび,私の視線を彼は捉えようとした.私の服装にも関わらず,彼には私が同じヨーロッパ人だということが分かっていたのだ.彼の心の中では,私は唯一のチャンスだった.
 しかし,彼を救う事は私にはできなかった.今起きていることを止める手立ては,世界中探してもどこにもなかった.
 今も,私は彼の目付きを忘れることができない.あの死に物狂いの声なき懇願を.

 我々が前進を止めると,彼らはソ連兵を土の上に放り出し,1分ほど,飛行機の爆音がしないか聞き耳を立ててから,捕虜の周りを取り囲んで,何事か呟き始めた.捕虜を引っ張って歩かなければならないことにうんざりしているのだ.

 スメアゴルが近付いてくるのを見た捕虜は,身もがいて後ずさりしようとしたが,彼らに捕らえられ,今度は頭と首の周りをしっかりと押さえられてしまった.
 スメアゴルは少年の前に立ち,顔の前でナイフをちらつかせ,彼を嘲笑った.まるで襲いかかろうとする蛇のようだった.
 突然彼が突進し,ナイフの切っ先を,捕虜の目の周りの皮膚に繰り返し突き立てた.
 深い切り傷が,額と頬の皮膚に現れた.
 そのあとスメアゴルは,ナイフを腕と胸のほうに下ろしていき,刃を皮膚の上でゆっくり滑らせ,切り口から血を溢れ出させた.