・東日本大震災で巨額の義援金を寄せた台湾に対する日本側の「感謝広告」について、台湾の高校教科書が
掲載しようとしたところ、「日本政府からの感謝ではなかった」という表現をめぐって日本側が異議を唱え、結局、
掲載が見送られていたことが8日、分かった。
この感謝広告は、日本の対台湾窓口機関、交流協会台北事務所(大使館に相当)が、震災から1年後の
昨年3月、台湾の主要紙などに掲載したもの。
複数あるうち、宮城県気仙沼市の漁船船長が「元気です。台湾ありがとう」と語りかける広告について、台湾の
教科書出版社、南一書局(台南市)が今年の高校生用「公民と社会」に掲載しようと企画した。
昨年9月、南一書局側から掲載申請を受けた交流協会では、震災を機に緊密化した日台関係の象徴になると
考え、前向きに検討。しかし11月にできた試作版の教科書には、「(台湾が)国際的地位を得る重要性」の
項目の中で、広告写真とともに「台湾は日本に最多の義援金を送ったが、感謝広告は(民間団体である)
交流協会名義で日本政府からではなかった」との説明文が付いていた。
これに対し、交流協会は「野田佳彦首相(当時)が台湾の新聞を含めて感謝の寄稿をしたことなどは考慮されておらず
意義付けも不本意だ」として最終的に掲載不許可を決定。
結局、南一書局側は先月に完成した教科書で広告写真と説明文を外した。同社は産経新聞に、「台湾と日本には
外交関係がなく、最多の義援金を送ってもなお、国際社会で承認されるには困難な点があることを象徴させたかった」
などとコメントしている。
震災後、日本は主要各国の新聞に感謝広告を掲載したが、台湾は対象外だった。これに対して批判の声が上がり、
日本の民間有志が資金を募って台湾の新聞に感謝広告を掲載。震災1年後の昨年3月には、交流協会が
感謝広告やCMを作成し、台湾の新聞やテレビで掲載・放映していた。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130109/chn13010908120000-n1.htm