【朝日新聞】 「民主主義を考える…期待に応えぬ政治を嘆き、救世主を待つのは不毛だし危うい。簡単な解決策語る者は、むしろ疑うべき」

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1有明省吾 ◆BAKA1DJoEI @有明省吾ρ ★
★民主主義を考える―「私たち」を政治の主語に

民主主義を考えたい。
政治の病は、民主主義じたいが風邪をひいている表れのように思えるからだ。
政治不信は深まり、政党の支持者は細った。人々は「支持」よりも「不支持」で投票行動を決めているようにみえる。
根の枯れた政党は漂い、浮き沈みを繰り返す。
不支持という負の感情を燃料に、民主主義はうまく動くのだろうか。
政党が「共感を寄せてくれた大衆を失ってしまった」あの時代を体験した、政治哲学者の著作をひもとこう。
――共同体が壊れて人とのつながりを失い、見捨てられた思いを抱く大衆は、政党や利益団体の代表を始めとする「体制」に敵意を示す。
敗戦や失業で不安が広がると、現実から目を背けさせてくれる物語を求める。
だから、大衆は「ユダヤ人の陰謀」と戦うというナチスの虚構を信じた。
ドイツ生まれのユダヤ人、ハンナ・アーレントは「全体主義の起原(きげん)」(1951年)で、そう読み解いた。

■「素人の知恵」集める

どうすれば、人々と政治は、正の感情でつながれるのか。
政治はサービス産業で、私たちは顧客。不満なら業者(政党)を代えればいい――。
そんな感覚なら、幻滅を繰り返すだけだ。少子高齢化が進むいまの日本。だれが政権を担っても、満足なサービスを提供し続けるのは難しいのだから。
だいいち、市民は客なのか。
市民は陳情し、政治家は予算を引き出す。そんな関係を、ともに課題解決にとりくむ仲間に変えよう。東京都港区議の横尾俊成さん(31)はそう試みる。
選挙公約には、市民との対話で出た提案を列挙した。
けがをさせまいと遊び方を制限したりせず、やんちゃし放題の公園。駐輪場で自転車を借り、別の駐輪場で乗り捨てられる仕組み。
実現に動き出すと、提案者から「できるんだ!」と喜びの声が上がる。 (>>2-5へ続く)

asahi.com 2013年1月5日(土)付
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