働きアリの集団の中には常に2割程度の働かないアリがいて、
働くアリだけのグループを作っても必ず働かないアリが出ることを、
長谷川英祐(えいすけ)・北海道大大学院准教授(進化生物学)らが証明した。
「働かないアリがいれば、別の仕事が生じた時にすぐに対応できる。
仕事の効率は下がるが、集団を維持する巧妙な仕組みではないか」と推測している。
日本動物行動学会の「ジャーナル・オブ・エソロジー」1月号に発表した。
長谷川准教授らは、体が大きいなどの理由で観察しやすいシワクシケアリを北大の苫小牧研究林(北海道苫小牧市)で採取し、
働きアリ150匹と女王アリ1匹のコロニー(一族)を八つ作り、人工の巣で飼育。色を付けて識別した各個体の動きを観察した。
その結果、卵の世話をするなどの仕事量にばらつきがあり、どのコロニーにもほとんど働かないアリが約2割いた。
働かないアリだけ30匹集めると、うち約2割が働かないままだが、残りはよく働くようになった。
よく働くアリだけを集めて新たなグループを作っても一部は働かなくなった。仕事の熱心さに年齢などは関係なかった。
人間社会のように集団に指示するボスはいないが、自然と働くものと働かないものが出る。
長谷川准教授は「働かない『働きアリ』が集団維持にどのように貢献しているのか今後明らかにしたい」と話している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121229-00000010-mai-soci