「きれいな活断層」「活断層を否定するのは不可能」。東通原発の破砕帯が活断層とされた評価会合で、
調査団のメンバーはそれぞれが活断層を明確に主張した。対立点はなく議論らしい議論もなかった。
東北電が活断層ではないとする根拠は完全に否定されており、次回の会合で東北電が調査団の評価を
覆すのは難しいとみられる。
■「膨潤ではない」
東北電が原発許可申請時以来、活断層ではないとする証拠として持ち出しているのは「膨潤作用」という説。
地層のずれは乾いた粘土層が水を吸って膨らんで動いたとするものだ。
評価会合ではメンバーから「膨潤ではない」という根拠が次々と挙げられるとともに、過去の国の審査を
批判する意見も出た。
専修大の熊木洋太教授は三河地震(昭和20年)、新潟県中越地震(平成16年)などの活断層のスケッチを
スクリーンに示した上で、東通原発の破砕帯は「ほとんど同じくらいに似ている。膨潤は全く納得できない」と強調した。
過去の国の審査に疑問を呈したのは、産業技術総合研究所の粟田泰夫主任研究員。粟田氏は「膨潤のデータは
議論されているが、活断層から説明した議論がない。膨潤ではかなり広範囲に隆起することはない」と明確に膨潤説を否定した。
千葉大の金田平太郎准教授も「地下水が上がったり下がったりすることで、膨潤が生ずるかは疑問に思う」と指摘。
座長役の島崎邦彦規制委委員長代理は会合後の会見で、「活断層ではないことを証明するのは事業者の方だ」と自信を見せた。
■「評価手法ない」
ただこの断層がどこまで延びているか、どれだけの規模の地震を起こすかの共通見解は得られなかった。それに伴い、
直近にある活断層が原子炉にどういう影響を及ぼすかの判断が今後、求められる。この点について、島崎氏は「今は
適切に評価する手法はない」と再稼働の是非は時間がかかるとの見通しを示した。
一方、東北電は20日、「計画段階から詳細な地質調査を行い、活動性はなく耐震設計上、考慮する必要がないと
確認している」とのコメントを発表。「次回会合で技術的根拠をしっかり示す」としている。(原子力取材班)
ソース msn産経ニュース 2012.12.20
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121220/dst12122022280019-n1.htm