★【社会】東電社員「切り捨て」? 精神的苦痛の賠償終了提示
東京電力は、福島第一原発事故の避難区域に住んでいた社員に対し、区域内に持ち家がなければ、
通勤可能な新居に落ち着いた時点で、精神的苦痛に対する損害賠償を終わらせる基本的な考えを示した。
これに対し、避難生活をしながら事故収束に当たる社員からは「会社に切り捨てられた」と失望や怒りの声が上がっている。
東電は国の中間指針に基づき、避難者に一人当たり月十万円を目安に精神的苦痛への損害賠償を支払っているが、
巨額の賠償額を抑えるため、まず社員から削減する考え方になったとみられる。
東電は一週間ほど前、二回に分けた説明会で社員に伝達。
その席で、区域内に持ち家があって福島第一に勤務していた社員には、一般の被災者と同様の賠償を続ける、とした。
しかし、アパートなどを借りて福島第一に勤務していた社員で、通勤可能な場所に入居した後は、
社員も家族も精神的苦痛に対する賠償をしない、との考えを示した。
さらに、区域内に持ち家はあっても、事故当時、社命で新潟県の柏崎刈羽原発など区域外で勤務していた場合は、
家自体への財物賠償はするものの、精神的苦痛に対する賠償はなくなる。
しかし、社員も不便な仮設住宅などで避難生活をし、配偶者は仕事を失ったり、子どもも転校などを強いられるケースも多い。
区域内の実家から通っていた社員も故郷を追われる苦しみは同じなのに、持ち家ではないという理由で、家族ともに賠償されない。
説明を受けた社員らからは「避難する家族と離れて、事故収束のために現場にとどまっている人も多い。
避難を転勤と同じように言われたのは、忘れられない」と憤りの声が上がっている。
東電の広報担当者は「示したのは基本的な考え方。社員も被災者で、一般の方と同じ基準で賠償する。
避難を余儀なくされているかどうかで、個別の事情も考慮して決める」と話した。
東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012122090070613.html