★小社会
衆院選の公示とともに、本紙に連日掲載された「63万人の声」。高知に生きる人たちの生の声を聞き、時に候補者に有権者の疑問などをぶつけて、
考える材料を提供する試みだった。
厳しい暮らしを訴える切実な声をはじめ、争点の原発や消費税、憲法、集団的自衛権などについてさまざまな思いが寄せられた。
将来への不安も大きい。きのうはどの候補者・政党に託すのか、悩みながらの1票だったに違いない。
12党が入り乱れた戦いは、予想通り自民党が大勝し、政権を奪還した。民主党は閣僚らが小選挙区で次々に敗れるなど、惨敗というほかない。
3年余りの民主党の政権運営に対する失望の大きさゆえだろう。
県内の3選挙区は自民党前職がそろって当選回数を伸ばした。強い逆風下だった前回とは違って、番狂わせの可能性はゼロだった。
過去最低となった投票率は、2選挙区で不戦敗を決め込み、有権者の選択肢を奪った民主党の責任でもある。
自民党が掲げた看板は「日本を、取り戻す」。経済や教育、外交、安心を取り戻すというが、それがなぜ「日本を」となるのだろう。
安倍総裁の胸のうちにある「日本」は、いつの時代にまでさかのぼるのか。
3年余り前、本欄は「(民主党が)期待に応えることができなければ、次の革命が待っている」と締めくくった。政権交代という名の革命が再び起きたが、
むろん安倍自民党にも当てはまる。
高知新聞 2012年12月17日08時33分
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=296765&nwIW=1&nwVt=knd