【産経抄】12月8日
2012.12.8 03:14 [産経抄]
71年前のきょう、日本軍はハワイの真珠湾を奇襲攻撃した。
当時を皮膚感覚で覚えている世代は数少なくなり、その証言はますます貴重になっている、と書いたところでグラッときた。
震源から離れている東京・大手町もかなり長い間揺れ、たちまち昨年の3・11の記憶が蘇(よみがえ)った。
▼ほどなく東北沿岸の一部に津波警報が出た。3・11の反省から改正されたマニュアル通りではあろうが、
NHKのアナウンサーが強い調子で「東日本大震災を思い出してください!」と連呼して避難を呼びかけたのは適切だった。
▼肝を冷やされた被災者の方々にお見舞い申し上げるが、71年前どころか去年の大震災ですら
あまり話題にしなくなっていた都会人には頂門の一針になったはずだ。
いまなお2700人以上が行方不明のままで、多くの被災者が仮設住宅で
2度目の年越しをせざるを得ない現実から目をそむけてはいまいか。
▼福島第1原発事故の処理もいまだゴールが見えない。
事故直後に当時の菅直人首相がとった処置が適切だったか、
復興対策が十分かどうかも今回の総選挙で厳しく問われねばならないのに、それらの争点がぼやけている。
▼原発論議もまたぼやけている。各党や候補者の訴えが情緒的に流れすぎているからだ。
ならばいっそのこと「脱原発」を唱えている人々は、
中央道のトンネル事故で9人もの命が失われているのだから「脱トンネル」も唱えてはどうか。
▼もちろん、景気対策や社会保障、国のあり方を問う憲法改正や中国の脅威にどう対応するのかといった問題も重要だ。
有権者のみなさんにはそういった重要課題への各党の対応を吟味しつつ、「大震災を思い出してください!」と訴えたい。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121208/dst12120803150001-n1.htm