衆院解散後、3度目の週末となる1日、民主党の選挙対策の中心となるはずの輿石幹事長は、
地元・山梨県内の選挙対策に没頭していた。
輿石氏は1日昼、甲府市内で公認候補の斎藤勁官房副長官を伴い、山本栄彦・前山梨県知事と面会、
「ご厄介になります」と丁重に支援を要請した。甲府市長も務めた山本氏が「なんとか(選挙態勢の)形を作らないと」
と忠告すると、輿石氏は何度もうなずき、別れ際には、「すみません。会えて、よかった」と、両手を合わせて山本氏を拝んだ。
11月29日夜、山梨県昭和町での民主党山梨・連合山梨合同総決起集会で「この土日は甲府盆地を駆け巡りたい」
と宣言した通り、輿石氏は1日、山梨1、3区で、ミニ集会や労働組合などを回った。2日も山梨を回り、公示日の4日も県内にとどまる予定だ。
衆院解散以降、山梨にこもる姿が目立っている。
輿石氏は全国の選挙遊説は基本的に行わず、党務で上京しても、山梨にとんぼ返りするようなケースがほとんどだ。
一般的に政党の幹事長は、候補者調整などの組織対策に加え、テレビ出演や全国的な街頭遊説などで
支持拡大を図る世論対策の要となり、党の消長を左右する存在とされる。輿石氏の与党幹事長らしからぬ姿に、
党内からは「山梨県連の選挙対策委員長のようだ」とやゆする声も出ている。
お膝元の山梨1区では、小沢鋭仁元環境相が民主党を離党して日本維新の会から出馬する。
自らの威信に懸けて「絶対に負けられない」として、輿石氏は地元に張り付いているとの見方もある。
さらに参院議員の立場で衆院選を指揮する難しさもあり、党内のあるベテラン議員は1日、こう指摘した。
「輿石氏は人情家だから、組織運営に向く。しかし、世論受けがしないので、表に出たらマイナスだと本人も分かっているのだろう」
自ら意識的に「輿石隠し」をしているとの分析だ。
幹事長の業務は、鉢呂吉雄選対委員長や安住淳幹事長代行らがカバーしている。
民主党幹部は「選挙戦で最大の切り札は、野田首相の存在そのものだ」として、首相を前面に押し出す党首対決に活路を開こうとしている。
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2012/news1/20121202-OYT1T00512.htm