中国のチベット族が暮らす地域で焼身自殺が相次いでいる。中国政府の抑圧的な少数民族政策に抗議する狙いとみられ、
昨年以来、すでに50人以上が自殺を図った、とされる。
チベット自治区のラサでは漢族の移住者が増える一方、地方出身のチベット族が追い出され、経済的に困窮する人が
増えている。ラサ以外でも似た状況が生まれているかもしれない。10代後半から20代の自殺者が多い。背景には、
当局によってチベット語教育の機会が侵害されるなど、民族の権利が奪われていることへの反発や絶望があるようだ。
深刻な事態である。
中国では国を率いる最高指導部のメンバー交代を目前に控えている。新指導部は、チベット族を含む少数民族の権利を
重視しなくてはならない。力で抑えつけるのでなく、対話で不満の解消を図る姿勢が求められる。
チベット問題の根は深い。中国共産党は1949年の建国後、チベットは自国の領土だと宣言し、人民解放軍を進駐させた。
抵抗運動が広がる中、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世がインドに亡命、チベット亡命政府を樹立するに至った。
中国からの独立を目指した亡命政府は途中から高度な自治を求める方向へ転換。中国政府と対話を重ねてきたものの、
話し合いは前進せず、2年以上にわたり中断したままになっている。
焼身自殺が相次いでいることを受けて9月に開かれた亡命チベット人会議では、中国との対話再開もテーマになった。
実現のため、国際社会の協力を得ていくことなどを確認している。
一方、中国外務省は「ダライ・ラマの集団が扇動している」との見解を示し、人権上の問題ではないことを強調している。
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ソース:
http://www.shinmai.co.jp/news/20121104/KT121030ETI090005000.php