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>>1のつづき)
ドイツの一部の小学校や幼稚園は学校給食を取り入れている。
だが最近、給食が原因とみられる食中毒事件が発生。ベルリンの地元紙によると、9月下旬、独東部の
学校や幼稚園の生徒・児童数千人が相次ぎ吐き気など食中毒の症状を訴えたといい、いずれも同一の
業者が給食を納入していたことから、給食が原因との見方が強まっている。
一部のメディアは「過去最大の食中毒事件」として、事態を深刻に伝えた。
子供の健康を預かる学校で、これだけ大規模な食中毒が疑われる事例が発生するのは異例だ。
食中毒発生の背景には、国も関与して制度が確立されている日本と異なり、さまざまな点で課題を抱えている
ドイツの学校給食事情がある。
ある大学の研究者が国内の給食の状況に関し、給食に従事する職員の資格や調理場などの衛生環境、
「毎日、野菜や果物は供されるか」など献立について調べたところ、約90%が適切な基準を満たして
いなかったとの結果が出たと報じられている。
長時間保温された給食は栄養を失い、味もほめられたものではない。給食をとることは義務化されていないため、
ファストフードを買うなど、別に食事を済ませる生徒・児童も少なくないようだ。
連邦制度をとるドイツでは教育は基本的に州の管轄で、給食に関する規定や職員の資格について全国的な
統一基準がない。慢性的な財政不足に悩む地方自治体では給食への支出も限られる上、保護者も給食費の
負担が増えるのを嫌がり、適切な設備や職員を確保できないのだ。
ただ、日本式の学校給食をドイツで導入するにはハードルが高いようだ。専門家のパイネルト氏も、コストの問題や
教育制度の違いを踏まえ、「ドイツは別の道を探すべきだろう」と結論づけている。(以上)